深掘りしてみる?

息子の宿題サイン欄に、『mommy』と連日書いていたら、先生がコメントをくれました。『Rく~ん!字きれいやわ~。いつもmommy Thank youです』とこれまたにこちゃんマーク付き。息子の情報によると広島出身、大阪にも住んでいたことのある先生、地の果てまで乗ってくれそうな雰囲気にいつも笑わせてもらっています。そんな先生がさらに伝えてくれて。どうやら、旦那様は阪神ファン、そして娘ちゃんはDeNAのファンなんだそう。一家でセ・リーグ混戦だと面白くなってしまって。ペナントレースは熱いし、メジャーリーグは連日大谷選手の試合を中継してくれるし、野球ファンは忙しいなと嬉しい悲鳴です。子供の頃から気になっていた『邪飛』という言葉がまた気になり出し、しびれを切らして調べてみました。ずっと『じゃとび』だと思っていたのは私だけ?!読み方は『じゃひ』で、ファウルフライを意味することが判明。邪悪の“邪”という文字を使っているので、あまりいい場所のフライではないんだろうなとずっと想像していたのですが、ファウルフライだと分かり納得。父がよく車の中で中日の試合をラジオで聴いていたものの、最初はよく分かりませんでした。左中間(レフトとセンターの間)とか、二遊間(二塁とショートの間)とか、え?!何のこと?と思っていたものの、歓声がわーっと聞こえ、実況の方のテンションが上がっているのでそこにヒットが放たれ、なんとなく点数が入ったことが分かりました。テレビで見て、打席に立った選手の表示に、前の打席がどうだったのか漢字で表記されることが多かったので、それで少しずつ覚えていったことが懐かしくなって。そしてある日、息子が試合を観ながら伝えてきました。「この選手、打率が300だって!!」そんな訳はない。「よく見て。点が前に付いているでしょ(.300)。10打席のうち3安打を意味しているの。打率と言って、割り算で計算されているんだよ。」「へえ、そうなんだ。ボク、打率300って思ったからびっくりしちゃったよ。」そんな数字が出たら選手も大喜びでしょうよ。打率を下げない為に、みんな必死で塁に出ようとしてくれているんだ。村上選手の苦悩を、ヤクルトファンとしてそっと応援し続けよう。そこを越えた時の彼の笑顔が見たいから。

少し前、久しぶりにシェアオフィスに行くと、受付の所でミルキーのKさんが挨拶をしてくれました。奥様を亡くされ、悲しみに暮れていた彼。あまりにも急なことで、気持ちの中でなんにも整理ができないまま、色々な手続きで半年は忙しいまま時が過ぎていった、その時はまだ良かった、本当に辛くなったのは忙しくなくなった後。実感が湧き、悲しみが押し寄せ辛い日々を過ごしましたと。愛し愛されていた深いご夫婦であることは、お話を聞き本当によく分かり、だからこそ彼の喪失感と痛みを感じていました。そんなKさんに間を空けてお会いすると、醸し出す雰囲気に明るさが宿っていて、ほっとしました。越えたんだなと。本当に越えた訳ではないのかもしれない、それでも変わってあげたかったと溢れる涙を堪えきれなかった彼の姿はありませんでした。妻の分まで生きよう、そんな気持ちを感じ、胸が熱くなって。ここまで来るの、大変でしたね。でもそんな姿を見せてくれてありがとう、私も頑張ります。Kさんの背中を見て、心の中で呟きました。無理のない笑顔がなんだか嬉しかった午後。奥様が近くにいるような気がしました。優しさ、そして柔らかさ、きっとそばで見守ってくれている。

私が別居をする前、ネネちゃんと電話で話す機会があり、伝えてくれました。「家を出る前に、お母さんとの関係を解決することが先のような気がするんだよ。Sちんさ、前世でよっぽど何かあったのか、いつもお母さんの幸せばかり考えているんだよ。もうね、ちゃちゃっと宿題を提出しちゃいなさい。私もうできましたってお母さんに出して、その問題を解決しちゃいなよ。そうじゃないと、Sちんは後世まで引きずってしまいそうだから。お母さんの幸せは、お母さんが見つけることなんだよ。お父さんが冷たくて、お母さんの辛さが改めて分かったってこの間も話してくれたことが気になったの。分からなくてもいいんだよ、それでも気づいてしまうのも分かる。Sのその深い優しさで私も助けられてきたから。でもね、もう自分の幸せを真ん中に置こうよ。そうしたらきっとR君と楽しい暮らしが待っているよ。自分が主役、分かった?」そう話しながら、姉が電話の向こうで泣いてくれているのが分かりました。母のことで越えられ切れていないのは彼女も同じ、まだ苦しんでいる中でそれでも妹がこれ以上辛くならないようにと、目一杯の言葉を伝えてくれたのが分かりました。その電話のぬくもり、来世でも覚えているよ。そしてネネちゃん、WBCを観てね、気づいたの。私は三冠王を最初から諦めているのではなくて、セーフティバントを決めて盗塁する、これが自分のプレースタイルなんだって。華麗なクリーンヒットとは違う、それでもいいカウントを狙って絶妙な所に転がす自信はある。その後思いっきり一塁に駆け抜けるんだ。自分の持ち味、見つけたよ。犠牲になるのではなく、武器を生かすということ。

そこは、カナダの留学から帰国し、姉が就職した外資系のオフィス。司書の資格を取る為に大学に戻った妹に連絡し、今営業に出て誰もいないからちょっと遊びに来る?と伝えてくれました。たまたま午前中の講義で終わった為、コンビニでランチを購入し、車を停め、ネネちゃんのオフィスへ。綺麗に片付けられたデスクが並べられ、新しい匂いがしました。カナダ人の恋人と別れ、姉が選んだ道。心から応援したいと思った。一緒にランチを食べ、プチシリーズのチョコサンドを頬張りながら伝えてくれました。「Sちんの今の努力が報われるといいね!その資格はSの支えになると思うから。役に立つ時が来る、本当にそう思うよ。」今も支え続けてくれているよ、ネネちゃん。そして走り続けている。彼女が挫けそうな時、くまさんの付いたプチシリーズを届けようか。オフィスにいたあなたにエールを送られたから、その気持ちを返しに来たと。どんな姿も覚えているよ、そんな気持ちが深く届くといい。私の涙と姉の涙の総量は同じなのかもしれない。どちらもあたたかい。