甘えたくなる時

平日に母宅へ呼ばれ、ちょっと気合いがいるなと思ったものの、あまり避けてばかりではいけないと思い出向くと、色々な食材を渡してもらい、警戒していたことをちょっと反省。息子に会いたそうにしていたので、学校までの道を教え、途中で会えるからと伝えると、喜んで歩いて行きました。膝のリハビリ、とにかく無理なく歩くこと。そして多分、安心感の中で歩くことが母の心のリハビリに繋がっていく。途中でちゃんと会えて、楽しそうに帰ってきた二人。私も焦らずゆっくり消化していくことにしよう。

夕飯の準備をしていると、息子が仕上げたぬり絵を母が見てひと言。「ラスカルにぬれているじゃない。上手になったわね。」ん?“しまじろう”なんだけどと思っていると、カラフルと言い間違えていたのだとすぐに気づき、一人でこっそり笑ってしまいました。ラスカルって・・・。それはアライグマじゃ!!感覚で話すところが、私も息子もしっかり似てしまったのだと、なんだかんだ言っても遺伝には敵わないとくだらないことを思いながら作った夕ご飯。いつもはテレビを見ている時間なのに、自分から消して一緒に遊んでいる姿を見て、助けられているのだと実感しました。どこかに、答えはあるはず。

定期的に行っている旗振り当番の日。1年生最後は、お世話になった地区長さんと組むことになり、胸がいっぱいでした。とっても陽気なお母さん。一番初めの来訪時、オートロック式のドアを開けると、「どこのエレベーターに乗ればいいか分からなくて。」と戸惑いながら振り向くと、小学生の子供達が中に入っていく様子を捉え、「知っている子達だから大丈夫です~。」と言い、笑いながら登場してくれました。どれだけ顔が広いんだと笑えてきた初対面。「旗と一緒にノートも回ってくるんですけど、適当に書いてもらえたら大丈夫なので。」と随分ざっくりした説明を受け、1年生のお母さんなので気楽にやってもらえたらという配慮も見え隠れして、嬉しくなりました。その方と行った旗振り当日。無事に終え、1年間お世話になった挨拶をして、気持ちよくお別れをすると何をどう間違えたのか、地区長さんが記入したノートだったことが判明。『2月〇日 晴 特になし』の記述に大爆笑。行く前に既に書いていて、私が中学生の時にずるをした夏休みの一行日記が思い出されました。「Sには未来が見えているの?」先生のあの言葉が過り、地区長さんの可愛らしいずるさが微笑ましくて。子供達が安全に元気よく学校へ行ってくれる毎日を願って“特になし”だったんだよね。そんな日が続きますように。何もないことが何より。自分が高学年のお母さんになり、地区長を任された時、同じ優しさと明るさで、1年生のお母さんを迎えられたらと思いました。温度を変えずに繋げること、それが心地よいものなら、大切にしていきたいです。

私がオーストラリアに留学中、現地でプリペイドカード式の国際電話がかけられるカードを買い、公衆電話から父に電話。海外に行っているはずの娘からかかってきた電話に慌てた様子で、笑ってしまいました。その後、何度もかけた電話。「お父さん、日本に戻る前にゴールドコーストの海を見に来たんだ。びっくりするぐらい綺麗でね。嫌なこと、全部ここに捨てていけたらいいなと思ったよ。」「以前テレビで観たことがあってさ、いい場所だなと思っていたんだよ。」「いつか一緒に来られたらいいね。」「そうだな。」日本にいる時は3分以上電話で話したことがなかったのに、オーストラリアの温かさに包まれて、北半球にいる父と、今までで一番心の通った電話ができたような気がしました。夢が夢で終わったとしても、あの時交わした淡い約束がそっと胸をかすめる時、温かいものが流れ込んでくる感覚。電話の向こうから聴こえてきた波音、父に届いていたらいい。