待っていた言葉

お風呂から出ると相変わらずテンションMaxの息子。「ボク、なりたい夢があるんだ。沢山だよ。」なになに?と私も興味津々。「ええと、野球選手でしょ。あとラグビー選手、消防士さん、おまわりさん、白バイに乗っている人、音楽やる人、お料理作る人、そうだ、覆面パトカーに乗る人!」ここはね、突っ込んでおいた方がいい?おまわりさんと白バイと覆面パトカーは、警察官という一つのカテゴリーじゃ!それにしても、野球選手という言葉は嬉しかった。録音しておけば良かったかな。先月行われた屋外のライブに連れて行って以来、バイオリンにも興味を持ちだした7歳児。大きな紙を丸めて一生懸命演奏している姿を見て、色々な所から刺激をもらって全部を吸収している彼が羨ましくなりました。私と息子の興味がイコールになるのではなく、二倍三倍に膨れ上がっていく。おまわりさんは、おしりたんていのワンコロけいさつしょ、マルチーズしょちょうが好き。

毎週末持って帰ってきていた担任の先生からの伝言板。『阪神大震災の話を真剣に聞いていたようで、先生の気持ちが息子を通して伝わってきて、胸がいっぱいでした。神戸出身の友人に話したら感動していました。ありがとうございました。』そう伝えると、その週末お返事が。『震災等の話は語り継がなくてはいけないと思っています。ちゃんと聞いてくれてうれしいです。』その文面を読み、そこには間違いなく15歳の頃の自分がいました。社会科の先生が、こみ上げる沢山の気持ちを抑えながら伝えてくれた被災地への想い。“一人一人ができることには限りがあるのかもしれない。それでもできることはある。”社会科という教科を選び、教員を目指そうと思ったその当時の気持ちが蘇り、母親になり、学校で初めての担任の先生があの時の社会の先生と全く変わらない気持ちで届けてくれたその言葉に、泣きたくなりました。担任の先生は学校の子供達へ、私はライターとしてこの場所から伝えていく。手段は違っても、想いは同じ。社会科の先生、今どうしているだろう。定年を迎えただろうか。「今日は何の日だ?」まだどこかでそんな声が聞こえてくる。

プログラマーのMさんがふと伝えてくれました。「僕に出会っていなくても、Sちゃんはどこかのタイミングで書くという道を選んでくれていたと思う。大変なこと、沢山あると思うんだよ。きっとね、自分をさらけ出して、心を削ってでも書こうとしてくれているのだと思う。それを感じるから全力でサポートしたい。」
どうしても崩れてしまう年末年始。さすがに次回は1週間ほどお休みをしようかとも考えました。それでも長期連休のアクセスを見る度思うんです。帰省されていると思われる地域、海外旅行に出かけている最中に読みに来てくれた方達。そこにいてくれています。実家に帰る時って、その人それぞれの沢山のものを感じ、また元の生活に戻るんだろうなと。楽しかった分、仕事に戻ることが一時辛くなったり、老いる両親を見て胸を詰まらせ、複雑な気持ちを抱えて戻ってくる方もいるのではないかと、年末年始って特に様々なことを思う時期だからこそ、やっぱりここにいたいなと思っています。

私の圧倒的癒し系の主治医。色々な症状を持った患者さんがくるのだと伝えてくれます。そう、あなただけじゃないのだと。長い付き合いになるかもしれないけど、一緒に探していこう。先生のそんな気持ちにいつも助けられています。「先生はどうして漢方を学ぼうと思ったんですか。」「まだ息子が小さかった時に、小児ぜんそくを患ってね。その時医師をやりながら漢方も勉強し始めていたから、息子に飲ませてみたら効いたんだよ。」その経験が、どれだけの患者さんを救ってきたのだろう、助けたいと願う先生の気持ちにどれだけの患者さんが自分を取り戻すことができただろうと思うと、堪りませんでした。自分の経験がもしかしたら誰かの為に。
その想いをサイトという形で運んでくれているMさん、震災時にその場所にいられなかったことをこれ以上、自分を責めないで。アメリカからメディアを通して発信したこと、現地で募金をしたこと、常にベストを選ぼうとした姿、皆が感じていたと思います。「神戸の街をいつも想ってくれてありがとう。」こんな言葉をかけてくれる彼の気持ちが、いつの日か晴れることを願って。