国道一号の旅

この間、家族三人で箱根に行ってきました。
国道一号線は、箱根駅伝でも選手が走り、私が大好きな国道でもあります。

以前も触れたのですが、大学4年の時、母と一緒に姉のいるカナダへ行く前、成田空港―バンクーバー空港―カルガリー空港間のチケットは取れたのに、名古屋空港―成田空港間の国内線チケットが取れなかったと、姉から国際電話がありました。

詳細は忘れてしまったのですが、国内線なら何とかなると思ったのか、「チケットが取れなかったから、他の手段で成田空港まで行って。」という非常に呑気な電話があり、軽く途方に暮れてみる。

そんな状態から、ふと思い立ったのが、本物の優しさに出てきた男友達。
大学を中退して、車で全国を放浪の旅に出ていた笑える奴です。携帯に電話を入れると、「俺が車で連れて行ってやるよ。今茨城にいるからとりあえず一旦名古屋に帰る。言っておくけど、下道だからな。」一つ返事でOKをしてもらったものの、下道?!茨城―名古屋間のこと?名古屋―成田間のこと?

後日、むさ苦しい格好で自宅近くにやってきた友達に聞いてみると、「どっちもだよ!!」と笑っていて。どうやら、茨城から下道で戻ってきて、国道で成田まで運んでくれるらしい・・・。
事情を母に話すと、腐れ縁の友達の人柄はよく知っていて、喜んでくれました。「高速代やガソリン代を出すって言っても聞かないから、下道だよ。」と母に話すと楽しそうに笑っていて、母なりにこっそり交通費の準備。最後にそっと渡すこと、分かっていたよ。

とても苦しんでいた母、それを支えていた私、二人の姿を友達はずっと知っていました。だからこそ珍道中に誘ってくれた。
“人生そんなもんだ。簡単に目的地について堪るか!お前もおばさんも頑張ってきたんだよ。ご褒美の旅行、とことん楽しみながら行こうぜ!”
友達のにやっと笑った顔から、そんなメッセージを受け取りました。

成田空港を出国する前夜に、母と私とトランク二つを車に詰めて、いざ国道一号の旅。
スポーツカーに乗っていた友達は、もちろんマニュアル車。チャレンジャーとしか思えない。
母は、後ろで眠りについたのですが、私は助手席で彼の車の旅を聞きました。
「大学は、なんとなく受けたら受かったけど、自分のやりたいこととは違ってなんだか苦しかった。学費は働いて親に返すよ。全国を車で回っていると、そこの地域の人達が温かくってさ。大学中退してふらふらしている俺に優しくて、また頑張ろうって思ったよ。何かあったらいつでも来るって言っただろ。約束、守ったからな。」
え~!!非常事態でもないのに、たしかに捉え方次第では非常事態だけど、来てくれてありがとう。

深夜、箱根に着き、国道一号の路肩に停車し、見上げた星が本当に綺麗でした。
友達がくれたプレゼント。「高速乗ったら、見えなかったぞ。ゆっくり進むから綺麗なものが見えることもあるんだよ。」

一緒に見上げた夜空。箱根の国道一号は、無数の星と優しさに包まれる。