この間は、息子と同じクラスの広報委員のお母さん親子と、アスレチックのあるミュージアムへ行ってきました。前回行った時は午後からの待ち合わせだったので、アスレチックの時間が早々と終わってしまい、今回はリベンジすることに。大人料金が意外と高く、一人で十分だよねと友達が提案してくれたので、私が二人の保護者になり念願のアスレチックへ。ボールプールで弾け、鬼ごっこやかくれんぼで盛り上がり、男の子が二人いるお母さんは大変だなと笑ってしまいました。仲良しのY君は、学校から1か月片方の靴下を持って帰らず、一体どこに置いていたんだろうとお母さんが笑いながら話してくれた内容が蘇り、本人を目の前にすると吹き出しそうになって。ひとりっ子の親子とこうして仲良くなれて、なんだか嬉しいなと優しい時間が流れました。その後、散々弾けた二人と建物から出て、Y君のお母さんと合流。一緒にロッテリアに行き、やっぱり『鬼滅の刃』で大盛り上がり。そして、彼女が「R君、クリスマスプレゼント!Yとお揃いなんだよ。」と言って渡してくれたのは、なんと煉獄さんのモフモフのお財布でした。「きゃ~、煉獄さん!!」といい年こいて私の方が喜んでいると、さらに息子と私に沢山のチョコレートをプレゼントしてくれて。「Sちゃん、今日は一緒に中に入ってくれてどうもありがとう。すっかり任せちゃったから、そのお礼に買っていたの。」泣けるじゃないか。彼女はそういう人。だから、自然な形で友達になれたんだよね。気が付いたら、そばにいてくれた。
そんな嬉しい時間が過ぎ、息子と遊んでいると、姉との会話が蘇ってきました。「Mちゃん(義兄)が、そういえばK君って面白い子だよなってふとそんな話になってね。」姉の結婚式で、足の悪かった祖父の為に、K君が車を出して式場まで送ってくれたお礼に、お車代を出し、二次会にも参加してもらったので、義兄もまた彼と面識がありました。「友達に奢っているから、パチンコで勝ててるっていうK君哲学を気に入っていてね。本当にそういうものかもしれないなって話していたんだよ。」「そうだね。クラス会でコース料理を頼んでも、ドタキャンする人はいてね。それで余計に払わなければいけない時も絶対にK君が出してくれるの。俺、これからパチンコに行くんだよ。今ここで出したらきっと勝てるからって言って、みんなに気を使わせないの。」「パチンコで勝ったからお金に余裕があって出すよじゃなくて、先行投資だったの?!」「そう。パチンコってトータルでいったら負けるようにできていると思うんだけど、本当に彼はプラスなんだよ。人に無条件に与える人だから、K君に返ってくるんだろうね。」そう言うと、笑いながらも納得していました。そんな彼だからSは心を開いたんだよね、そんな表情を向けながら。
随分前に、姉に言われた言葉がふと再生されて。「K君は、どんなSも好きなんだよ。強がらないといけない時だったり、脆さだったり、もういやだって投げ出したくなるような時でも、そこだけ見なくて全部分かった上で受け止めてくれると思うんだ。あんた達が友達なのは分かった。だったら、K君のような人を選びなさい。どんな自分も好きって言ってくれる人、型にはめないで、ありのままでいさせてくれる人。そういう人といたら幸せになれるよ。」姉の気持ちが何十年も経ってこんな風に届くなんてね。
高校時代、一年生から受験モードの校風にみんなが辟易としていました。そんな中で、髪の毛を染め、日に日に金髪になっていったK君に先生達は呆れていて。ある日の数学の授業、前の方に座って寝ていた男子に、真ん中に座っていた女子が冗談半分で消しゴムをぶつけようとすると、コントロールが乱れ、黒板の下に当たり先生にも当たりそうになりました。板書をしていた数学の先生は、激怒。「誰だ!」と振り向きざまに言った時、すぐにK君の顔を見たことを見逃しませんでした。誰も名乗らないので、先生が何度も視線を彼に向け、それでもクラスのみんなは誰がやったのか分かっていました。その話が担任にも伝わり、帰りのSTで数学の先生に迷惑かけるなとだけ言い、特に犯人捜しをしなかった先生。その対応がなんだか有難かった。
帰り道、K君と合流すると、本音を伝えてくれました。「数学の先生さ、真っ先に俺を疑ったんだよ。何度も視線が合って睨みつけられた。髪の毛が茶色いとなんでも疑われるんだな。」「K君がやっていないのはみんな知っているよ。そういうことをする人じゃないって、私が知ってる。先生達に反発はしても、人を傷つける人じゃないから。○○先生(担任)もそれはわかっているよ。」「なんかさ~、見た目で判断されちゃうのかって思った。そういう人間になっちゃいけないなって。俺、どれだけ先生にムカついても消しゴム投げるようなヤツじゃないよ。」「うんうん、わかってるよ。誰よりも思いやりのある人だって知ってる。」そう言うと、こちらの顔を見てにやっと笑ってくれました。お前がいるからまあいいか、そんな心の声を残しながら。
「お誕生日おめでとう!」16歳の誕生日から途切れることなく、届けてくれる彼からのメッセージ。この世に生まれてきてくれてありがとう、そんな言葉を伝えてくれる彼は、お母さんからもらった愛を私に渡してくれたのかもしれないなと、親になり思いました。「Sちゃん、いつも勉強しているイメージだから、赤のペンケースにしたの。大したものじゃないけど、お誕生日おめでとう!」そう言って渡してくれたおばさん。嬉しかったな、とっても。この親子にどれだけの愛をもらっただろう。そして私はそんな親になれるのだろうか。赤いペンケースを持って、もう一度大学へ。沢山の想いを乗せ、緑が溢れたキャンパスを歩くよ、学生時代に貯めたお金を握りしめて。