時代についていく

今日も時間にゆとりが生まれたので、思い切って1day利用ができるシェアオフィスへ。受付で手続きを済ませ、ICカードを渡してもらい、入室しようとしたのですが開かない。困惑しているところで自分の左手を見てみると、しっかりとICカードが握られていて、何事もなかったかのようにピッとかざして無事に入室。受付の方に、このどんくささを気づかれていないことを願うばかり。

大学図書館の入館システムも、学生証をスライドさせたら入れる仕組みになっていて、忘れた学生さんが友達の後に続いて、しれ~っと入ろうとしたことは何度もありました。「忘れたのなら受付に言ってくださいね。」と伝えると苦笑い。統計を出しているということもあるのですが、社会人になる前に、そこでのルールに従ってもらうことを伝えるのも、大切な役割なのかなと思っていました。笑って許されるのも学生まで。そんなことを思っていたら、「職員証が見つからなくて、同じ学部の○○先生に借りてきた!」と笑いながら入ってきた常連の教授。図書館ってやっぱりこういう雰囲気なんだよねって、もう一緒に笑うしかなくて。

それでも、冊子だった雑誌は、どんどん電子ジャーナル化が進み、閲覧できるパソコンの台数も増え、なんとなく寂しくなって上司に聞きました。「このままいけば、いずれ図書館に司書はいらなくなるんでしょうか。入館して、パソコンを操作して帰っていく学生さんを沢山見かけるようになった気がします。」そう伝えると、「そういう時代が来るかもしれないね。機械だけで良くなる時代がね。でも、やっぱり図書館は“人”がいなければ図書館ではないと思いたいね。この温もりを求めに来てくれる。それは、昔も今も変わらないであってほしい。」そう言ってくれた上司の目も、なんとなく寂しそうでした。それでもどこかで受け入れて、足並みを揃えていこうとする姿勢が、いかにも尊敬する人の眼差しで。その気持ちを大切にしたいと改めて思いました。良さを残して、時代に合わせていく。そんな図書館が好き。

シェアオフィスの中は、本当に静かで、自分のタイピングまでもが反響するよう。それでも、併設されている会議室の会話が漏れ聞こえてきて、少し気になったので耳栓をしてみました。すると、音は遮断されたものの、音楽も他の方の様子も分からなくなってしまい、結局外すことに。なんだか、この空間に溶け込もうとしている自分を楽しみたいとも思っていて。マイタンブラーを持参し、粉のカフェオレを味わいながらパソコンに向かう時間。何でも揃っている近代的な場所で、周りの様子を伺っていたら、有名な焼き菓子とメッセージを見つけてじんわりしました。それは、この場所で働き始め、起業し、成功を収めた方のお礼のメッセージだったから。“この場所で頑張れました。その仲間に感謝したいです。”そんな気持ちが優しく届き、会ったことのない方に元気をもらったようでした。私も頑張ります。

個々でお仕事をされているのに、そこにいる人達がそっと仲間意識を持ち働く。耳栓を外したくなる理由が分かったような気がします。ふわっとした気持ちを抱えたまま、給湯室に向かうと、そこには可愛らしいスポンジが。『ラウンジ利用の○○さんから頂きました!』という小さなラミネートを発見。現代的なんだけど、人との関わりを大切にしている人達。私もその中の一人になれるかな。何かを届けられる人になれるかな。

忘れてはいけない気持ちが、ここにはちゃんとある。この場所を選んで良かった。