共通の趣味

私が一人暮らしの時、英会話に通っていたクラスはグループ制で、その週であれば、同じレベルの他の曜日でもいいというルールだったので、その日によってメンバーが違いました。いつも一緒だったのは、60代の仲良しの男性、そして時々大学生の女の子、駅員さん、外科の先生で、司書の私がいて、なかなかバラエティに富んだ面白い授業でした。

最近、駅員さん見ないなと思いながらの帰り道、声をかけられ慌てて振り向くと、制服を着て、帽子を取りながら会釈をしてくれたのは、その男性。いつもは私服なので、なんだか見違えてしまい、にっこり微笑む姿がとてもしっくりきて、「驚きました。とても似合っています。」と伝えたこちらの言葉に喜んでくれて。「最近忙しくてね。」と言いながらもハツラツとしていました。いつもは、ぎこちない英語を緊張しながら話してくれるのに、今日はとっても凛々しくて。すごい刺激をもらいながら、大きく手を振って、嬉しくなって帰ったことがなんだか懐かしいです。

姉も就職前、英会話に通っていた時があり、クラスの中で、「うちの妹は野球ができる。」と話したら、塾の講師をやっていた男性が、なぜか私に興味を持ってくれて、「妹さんとキャッチボールがしたいと言われたんだけど、どうする?」と帰ってから聞かれてしまいました。「なんで私の話をするのよ~。」と言いつつ、いい気分転換になるかもしれないと思い、自宅近くの小学校のグラウンドで待ち合わせ。その時姉はいなくて、ぼんやりと待っていたら、ひょろっとした男性が登場。「Sちゃんでしょ。よろしくね。お姉ちゃんにちょっと似ているからすぐに分かったよ。」その方は、三重県出身で、なんだか柔らかい関西弁を話すので、すっかり和んでしまい、初対面とは思えない気楽さで、キャッチボールが始まりました。「女の子が、なんでこんなにできるねん!」といきなり言われ、すっかり笑われてしまって。どうやら、草野球で内野の守備をしていたらエラーをし、チームは負けてしまい悔しかったので、自主練習をしようと思っていたら、姉から私の話を聞いたという事情があったよう。って、なんで私や!と思いつつも、人生初ノックに挑戦。かなり適当に、右へ左へ打つと、真剣にキャッチをはじめ、やっぱり笑われながら、練習相手決定へ。「フォームはまだまだ怪しいけど、打てるのも笑えるわ~。」「男友達にバッティングセンターに誘われるから。」と話しながら、私も笑えてきて。

その後、姉が大阪に行っても、何度も誘われ、大学受験の心配もしてくれました。「高校の担任の先生には、関東か関西へ行けって言われて、お姉ちゃんには大阪においでと言われ、私自身は関東に行きたいんだけど、実家は私がいないとうまくいかないから、地元の大学を受けようと思ってる。」そう素直に話すと怒られました。「親の為に選んだら、後から後悔するぞ。Sちゃんって謙虚なんだよ。それがいい所でもあるんだけど、どこかで自分を押し殺しているようにも感じる。自分の為に生きるってこと、忘れないでいて。野球をやっている姿がイキイキしているんだよ。何かあるんじゃないかと思ってた。自分を大事にしろよ。10歳長く生きている俺から言えることはそれだけだ。」

英会話で姉と出会い、その妹と野球をしながら語り合った沢山の時間。ずっと覚えているよ。関東の大学で司書として働けた時に蘇った小学校のグラウンド、あの時言われた言葉。自分の意志を貫いたからこそ拓けた道。
そして、やりたかった今がここにある。