どんな生き方を選ぶ?

気温が一気に下がった朝、息子の頭が重く心まで引きずられているのが分かり、学校を休みたそうにしていたのですが、ぐっと押し上げてみました。「お母さんも今日辛いから、Rの状態なんとなく分かるよ。でもきっと朝だけだと思うんだ。体を動かしていたら楽になることもあるから、頑張って行ってみない?」「・・・うん。行くよ。」偉いぞ!寒暖差の激しい日はこれから何日もあるだろう、その度に向き合って一緒に考えよう。そして、お互いの体がなんとなく重い中、学区内まで送り届ける途中で伝えておきました。「昼間は一気に気温が上がって、それはそれで辛いかもしれないから、我慢ができなければ先生に言うんだよ。逆にお友達と遊んでいると紛れるかもしれないし。自分で、こういう時は痛くなるんだっていうパターンを知っておくだけでも安心だと思うから。いってらっしゃい!!」「分かった。公園かおうちにいてね。バイバイ!」そう言って、手を振りお別れ。またママに会えるまで一日頑張ろう、そんな心の声が聞こえてきました。会って元気になってくれるお母さんでいられるよう、私も頭痛を吹き飛ばそう。相乗効果、きっとあるよね。

私のひいおばあちゃん、祖母のお母さんはとても逞しい女性でした。軍人さんの奥さんで、6人の子供を育て、体もとても丈夫な方でした。祖母は次女、ひいおばあちゃんとはとても良好な親子関係だったのだと子供ながらに思っていて。毎年のお盆には、実家にお供え物を届けてくれて、女性が集まるとなんだか賑やかで、そんな空間が好きでした。そんなひいおばあちゃんが、祖母の葬儀でも気丈に振舞い、そしてひっそりとハンカチで涙を拭ったその姿を見て、私も一緒に泣けてきました。その時は小学2年生、親よりも先に逝くということがどれだけ悲しいことなのか、ひいおばあちゃんの涙を見て、なんだか分かった気がしました。なんて綺麗な涙なんだろう、その表情を忘れることはありません。その後、父は家を出て、隣町に住んでいたひいおばあちゃんは他界。あっちの世界でおばあちゃんに会えたらいいな、そんなことを思うと余計に泣けてきました。そして、別居中の父も参列したのですが、母に対してまだ怒っていた父は、母の親戚の前で酷い態度を取ったんだそう。女系である母の叔母さん達が慰めてくれたと、葬儀が終わった後泣きながら話してくれました。父にはなりふり構わないところがある、それで母が傷ついてきたのもまた事実。お母さん、私がそばにいるよ、そんな気持ちで背中をさすったことを今でも覚えています。

その後、母と祖父を置いていくことに後ろ髪を引かれながら関東へ。私がいなくて二人は大丈夫だろうか、そんなことを考えていた毎日の中で、飛び込んできた訃報。祖母の弟さん、私のことを娘のように可愛がってくれたおじさんが急逝したことを知りました。あまりにも唐突過ぎて。気持ちの整理が全然できないまま、新幹線に乗り、葬儀場へ。長男の方が、「Sちゃん、よく来てくれたね。」と目に涙を溜めて迎えてくれた時、おじさんに面影がそっくりで色々な気持ちが押し寄せてきました。「S、自立しろ。家族の心配もいいけど、自分の足で立って立派な大人になれ。」そんな言葉で叱咤激励してくれたおじさんの愛が一気に蘇り、泣けてきました。そして夜、葬儀場で少し精神的に丸くなった父と合流。その時、祖母の一番上のお姉さんが父に気づき、感激して声をかけてくれました。「○○ちゃん、会いたかったわ~。」半泣きして伝えてくれたその言葉が、どれだけあたたかったことか。ひいおばあちゃんの葬儀で、失礼な態度を取った、そのことを父は多少なりとも自覚していたと思います。そんな中で、おじさんの葬儀も行きづらかったはず。そういった時に、もう二度と会えないと思っていた姪っ子の旦那さんに会えた喜びを伝えてくれたことで、凝り固まっていた父の心は瞬間解凍されました。言葉にならず、半泣きしてうんうんと頷く父。そして、色々な気持ちがこみ上げ、トイレに駆け込む時、ズボンのポケットからハンカチを取り出し、誰にも気づかれないように涙を拭った後姿を見て、父は愛を真っ直ぐに感じたのだろうと思いました。人を許すということ、会いたかったと純粋な気持ちを届けてくれること、こんな俺だけど、大切にしてくれる人達なんだなと。ボタンの掛け違いどころじゃなくて、娘達を巻き込んでやりたい放題の両親。それでも、彼らの中に流れているこんな情の深さを知っているから、私はあの人達と離れなかったのかもしれません。父の流した涙も清らかでした。その話を母にも姉にもしました。「お父さん、薄情な所も沢山あるけど、おばあちゃんの親戚みんなが温かく迎えてくれて、本当に嬉しかったんだと思う。」そう話すと、二人とも半泣きして微笑んでいました。そんな後姿を見られているとは思っていない父、おばあちゃんがお父さんをずっと守ってくれているんじゃない?一週間で亡くなった息子の分まで、婿に来てくれた父を可愛がった祖母。その気持ちは、親戚みんなに伝線した。別居しても、親戚一同から○○ちゃんと愛される父。人の想いを忘れるな!

このサイトについて、夫から色々言われました。その色々を書くと、それはそれでまた言われる可能性があるので伏せますが、彼に伝えたいのは、出会ってくれてありがとう、この気持ちです。このサイトは、『さくらdeカフェ』は、架空のカフェのマスターである私が、来てくださる方達に、自分の心の中にあるものを聞いてもらっています。それはそれで、それなりに長いストーリーな訳で。色々な分岐点があり、迷い、悩み、苦しみ、その中で沢山の光を届けてくれる人達がそばにいてくれます。それは、夫もそうでした。母のことで辛い思いをした時は寄り添ってくれました。ここにいてくださる読者さん達は、優しい人達で、一部分だけを見て判断することはしない、長い歴史の中でいろんなことがあるよね、だって人間だから。そんな風にこれまでの記事を読み進めてくれた気がしています。どうしようもない両親だけど、彼らの人間臭い所が大好きです。夫のことで傷ついてきたこともありました、でもそれが全てではなく、きっと私は真っ黒に塗りつぶしてしまう前に、彼との思い出を持って前に進めるように離れたのだと思います。生きることって大変ですね。でも、そんな日々を聞いてくれる方達がいて、そんな皆さんを応援したくて、そういった方達に励まされるこのサイトを大切に守っていきたいと思っています。夫も含めて、このサイトに関わってくださる全ての方へ、小さな光の粒子が、さくらの花びらが届きますように。