子供の頃から、なんとなく愛想だけはよく、学生の頃から本当によく話しかけられました。
ウォークマンを聴きながら、信号待ちをしているのに、肩を叩かれ、道を聞かれることもしばしば。関東に来ても、電車の中でうたた寝をしていると、隣のおばさんに起こされ、「乗り換えが分からなくなっちゃったの~。」と言われ、慌てて車内の路線図から説明。
「助かったわ~。」なんて笑顔で言われると、やっぱり素直に嬉しいです。
一番話しかけられたのは、新幹線の車内。乗る時は、必ず二人席の方を選び、東京方面の時は富士山側を選択。一区間が長いので、なんとなく隣の方が気になり、相手も同じことを思っていたのか、色々な方と話す機会がありました。
学生時代、ふらっと熱海まで海を見に行った帰りの新幹線で、夕方の富士山を前かがみで見ていたら、隣の50代のビジネスマンの方に話しかけられました。
「富士山は、初めてですか。」と。「裾までくっきり見えたのが初めてだったので、感動してしまって。」と話すと、にっこり笑ってくれて、名古屋駅まで会話をすることに。
その方は、三重県で勤務をされていて、出張からの帰り道だと教えてくれて。スーツはビシッと着こなしているのに、緩んだ表情や口調がとても穏やかで、出会って1時間程の会話の後のお別れさえも、優しく寂しいものでした。
関東から名古屋に帰省した時のこと。台風がやってきていて、暴風雨が酷く、静岡駅の辺りで新幹線が止まってしまいました。隣にいたおばさんが、「止まっちゃうなら、特急券代返してもらいたいわね~。」なんて笑いながら話しかけてくれて。これからどうなっちゃうの?という不安を見事に吹き飛ばしてくれた、楽しいひとときでした。
その後は、ノロノロ運転で無事名古屋駅に到着。おばさんは新大阪まで頑張って。
大量の荷物を抱えて帰省した時はボストンバッグでは収まらず、補助バッグも一緒に車内へ。隣に座っていたのは欧米人の男性。私の補助バッグを見るなり、片言の日本語で、「オーストラリア行ったの?」と聞かれ、驚きました。
そのバッグは、”David Jones”と大きく書かれたオーストラリアのブランドで、現地では有名でした。短期留学した時に買ったと話したら喜んでくれて、「僕達、みんなオーストラリアから来たんだよ。」
ん?複数形??何やら気配を感じると思ったら、後ろ席に奥さんと可愛らしい子供二人がしっかり会話を聞いていて。パパの片言の日本語も、私の下手な英語も、全部聞き取ってくれていたのね!
息子と、市内を散歩していたある日。日本語も英語も話せない韓国人の女性に、図書館の場所を聞かれました。厳密に言えば、地図を渡されて印が付いていて。何やらハングルの文字が。
普段はわがままな息子も、意外と空気が読めるので、「一緒に教えてあげよう。」と話すとひょこひょこついてきました。韓国語は、全くわからないなと思いつつ、とても感じの良い方で、近くまで案内したらとても喜んでくれて。
別れ際の「Have a good day.(良い一日を)」は通じたよう。にっこり笑って会釈をしてバイバイ。
帰り道、息子に「付き合ってくれてありがとう。」と伝えると、いいよ~とご満悦な返事。
困っていたら誰かが助けてくれるよ。だから、誰かを助けられる人になってね。