変化を探してみた

連日気持ちが悪く、乗り物は一切乗れないという毎日を送っているので、シェアオフィスか図書館にしか行けない今日この頃。ホームグラウンドなので安心はするのですが、変化がなさ過ぎて、書くことが底をつきそうだったので、席替えをしてみました。全体が見える意外と目立つ内陸の席から、窓際へ。すると、不動産関係のHさんが私を見つけご挨拶。「おはようございます。今日は席取られちゃったんですか?」もう!声響くでしょ!!と思いながらも一緒に笑ってしまいました。「今日は気分転換です。」なるほど~と言いながら去っていき、朝から楽しい時間が流れて。この間は、帰宅前に偶然エレベーターで相乗りになり、「お帰りですね。1時間前から待っていました!」と言われたので、「感激!わざわざありがとう!」とお姉さん目線で伝えると、「僕、ストーカーじゃないですか!」と笑われ、大盛り上がり。どのタイミングで会っても、温度が変わらないってすごい。

色々と思いを巡らせ、高校の時は学級委員も断ったから肩書きはついていなかったよなと思っていると、思い出したのは2年時になった茶道部副部長。部長が美術部と兼任していたので、実質的に部長をやっていたことを忘れていました。なぜ忘れていたかというと、週に一度の活動だったのでゆるゆるだった訳で。そんなのんびりとした部活も、なぜかニュージーランドの留学生5人程がお茶を飲みに来ることになり、大慌て。いつも通りに準備をし、お客様として受け入れ、正座をしてもらいました。作法が全く分からないと思い、友達にも端に座ってもらい、見本にしてくださいとなんとなくこちらの意図を理解してくれたので、お茶を淹れ始めました。先に和菓子を食べ、器を置き、友達の見よう見まねで、欧米人の彼らが同じ動作をするので吹き出しそうになって。そして最後に、「ケッコウナ、オテマエデ。」と、そこまで言ってもらったので、家元の先生と一緒に笑ってしまいました。日本の伝統文化、静けさの中で正座し、順序があり、敬意を払うということ。彼らに届き、おみやげにしてくれただろうか。退室する時に、会釈をしてくれた時、何とも言えない心の交流を感じました。
そして、どうしてもさぼりたくなった時は、顧問の先生に歯医者ですと適当なことを伝え、翌日の朝の会で、担任の先生にみんなの前で私の名前を呼ばれました。「○○、茶道部の先生から和菓子を預かっているぞ。」やばい、さぼったのがバレたか?!と思っていると、状況が全く分かっていない先生は、余ったものが配布されたぐらいの解釈をしてくれたらしく、何事もなく渡されほっとしました。すると、近くに座っていた野球部男子がひと言。「なんでもらえるの?いいな~。」「部費を予め払っているから、出席することを前提で先生が和菓子を用意してくれているの。昨日、さぼったからその分を渡されたんだよ。食べる?」「え?いいの?」「一日経っているから外はカリカリかもしれないけど。」と言って渡すと、喜んで受け取ってくれました。その一個が、ファインプレーに繋がってくれていたりして。

そんな野球部メンバーの一人、エース君と仲良くなった3年生の時、夏の大会も終わり、引退した後の模擬試験の結果について面白おかしく伝えてくれました。「S、俺さあ、この間の模試で全国の順位で下から2位だったんだよ。」「うそ~。だってマークシートでしょ。」「そうなんだけどさ、英語なんて4点しか取れていなくて、それって一か所しか合っていなかったってことだろ。」「全部マークしたんだよね?!4択でそれだけ外せるってある意味すごいわ。」「でも、0点のヤツがいたんだよ。上には上がいるな。」「感心するポイントがおかしいし。でも、スポーツ推薦決まっているんでしょ。」「そうなんだけど、こんなあほ、受け入れてくれるのかなあ。実践のテストは頑張ってくるよ。」そう言った彼は、あっさり希望の大学に入学を決めました。そして、お互いの合格が決まり、気分転換にキャッチボールをした時、どうしても聞きたいことがあって。「野球部の主将ってどうやって決めたの?」「満場一致だった。アイツしかいない。監督も太小判を押す人間的にもできた奴なんだよ。」「なんだか分かる気がするよ。ショートで、4番で主将でしょ。美味しい所を持っていくよね。」大きな柱だったのは、雰囲気でなんとなく分かった。そんなことを思っていると、彼が伝えてくれました。「だったらなんで、Sはそいつじゃなくて俺に声をかけてくれたんだ?」「話しやすそうだったから。」「なんだよそれ!まあな、主将やってるぐらいだからやっぱりオーラが違うよ。みんなどこかで尊敬してた。アイツがバッターボックスに立つと、打ってくれそうな気がしたんだよ。俺が打たれてマウンドで俯きそうな時、集まってきてくれてアイツのひと言で皆がまとまる気がした。落ち着きがなんか違うし、なんて言うか、志が高かったんだよ。」この信頼関係、堪らないな。男の友情を、マウンドで沢山見せてくれていたね。

そんな思い出を胸に進学、中学の教育実習を終えた頃、出身校から定期的に届くお便りがきました。その中に、高校の教育実習を終えた同級生が写っていて、よく見るとそこには野球部主将が。文武両道だったことを思い出した!後輩達に野球を教える姿が容易に想像でき、高校の教育実習だったら合流できたななんて思いながら、凛としている姿はそのままで嬉しくなりました。
ピンチになった時こそマウンドに駆け寄り、エースに何かひと言。去り際に、ポンポンと肩を叩いてショートのポジションに戻った彼。その時、一瞬微笑んだような気がしました。劣勢だけど、この試合が俺達の最後かもしれないけど、このメンバーで野球を楽しもう。一塁側のスタンドから感じたものは、あまりにも熱い想い。負けた試合の後、並んだ対戦相手に、帽子を取り深々と頭を下げた彼の姿を忘れないでいよう。