小さな化学反応

お風呂から出ると、なぜかテンションの上がってしまう息子。元々がお風呂好きだとこうなるのか、体の体温が上がるからこうなってしまうのか。洗面所で待っていたくみちゃんを握りしめ、「今からくみちゃんがしゃべる言葉を当ててね!」と言われてしまいました。とりあえずいいよと言ってみると、「くみくみ。」「何それ?」「え~、分かんないの~。タピオカだよ。」そんなの分かるか!!なんでくみちゃんタピッてんねん!こんなくだらないやりとりが終わった後、今度は髪の毛を乾かしていると、「ママ、後で“かぶ”やろ~。」と誘われてしまい、ん?デイトレード?!それなら名古屋のおじいちゃんに聞いた方がいいよと冷静に思いながらリビングへ。そこには、我が家で大活躍のカブの形をした箸置きを、棚にセロハンテープでくっつけ、学校からもらってきた毛糸をカブから伸ばした状態で、引っ張っている意味不明の7歳児がいました。そっちのカブか!!一人で“大きなかぶ”ごっこをやっていて、私を観客にしたかったらしい・・・。「それでもカブは抜けません。」いやいや引っ張ったらあっさり抜けますよ!とここは突っ込むのを止めることにして。毎晩、私達は何をやっているのでしょうか。

今日は野球チームで一緒のS君のお母さんとランチへ。男の子二人と夫が尋常じゃないほどお米を食べると話してくれて大爆笑。その後、野球チームの話になり、爽やかすぎるHコーチ(齋藤教授)が来年度も留任してくれそうだと話してくれて、胸を撫で下ろしました。「厳しくて優しいあんなコーチがいてくれたら、子供達も学ぶことが多いだろうね。」全くの同意見。野球がうまくなるということだけでなく、チームプレーから得られることだけでなく、成長の過程で大切なこととは何か、コーチの言葉や態度で感じるものを自分のものにしていってくれたらいいなと思いました。色々な人を見て大人になった時、ふとその人の言葉が蘇り、その深さにはっとなる、そんな一瞬を大事にしてくれたらと。小学校生活も、大変なことがある中で、私だけが息子に伝えなくてもいいのだと思えた時、彼の周りにいてくれる方達に助けられているのだと改めて感じました。“一人で頑張らなくていい”、この気持ちがゆとりを生んでくれる私の大きなキーワード。

主治医が以前、診察中にふと私に話してくれたことがありました。「僕ね、子供時代はもっととがっていたんだよ。年を重ねて、ようやく少しだけ丸くなれたけどね。」なんだかその話が、私の中で妙にしっくりきて、先生の深い思いやりが伝わってきました。子供の頃は、先生にしか分からない葛藤があったのではないか、それを少しずつ越えたからこそ患者さんにとことん寄り添える医師になってくれたのではないか、そして、僕もそうだったからあなたも大丈夫と先生にしかできない伝え方で、私を楽にさせようとしてくれたのではないかと思いました。「先生が出してくれた最近の漢方、3か月ぐらい経ってゆっくり効いてきたんです。とっても有難くて。」そう話すと、「えっ?本当?」と言われ、思わず笑ってしまいました。本当も何も、お医者さんが出してくれた薬だし、漢方だからゆっくり効いてくると教えてくれたのは先生ですってば!と思いながらも、何とも言えない天然ぶりというか、謙虚さがなぜか沁みて。私がそれなりに気を遣ってしまう患者なのは多分バレていて、大して効いてもいないのにそう言ったのではないかと踏んでくれたような気がしました。その言葉の裏側にある所にまでそっと触れようとしてくれる医師。相手を思いやるってこういうことなのだと、診察が終わる度に、そっと支えられたような気持ちになります。未病、でも痛みがある。その痛みが少しでも和らぎますように。先生の手から伝わる、泣きたくなるような温もり。