誰かの発想

息子が1学期の終わり頃に持ち帰った一枚のプリント。1学期を振り返り、どんなことができたのかを詳細に書くものでした。『一番たのしかったことやがんばったこと』の欄には、『おにごっこでさいごまでいきのこった』と書かれてあり、大爆笑。かなりツボにはまってしまい、男の子ならではの発想に微笑ましくなりました。もっと他にはなかったんかい!とみんなで突っ込んでやってください。そして、『2学期になったらやってみたいこと』の欄には、『テストでいっぱい100天をとりたい』と書かれてあり、先生に赤で“点”と直されていました。天下でも取りたいなら、天下一武道会に出た方がいいよ。そういえば以前、接骨院の院長と話していた時に盛り上がった時のことが蘇ってきて。内容は忘れてしまったのですが、私がうつ伏せになって施術を受けながら話していた時、先生がこちらの言葉が聞き取れなかったらしく、「え?気円斬(きえんざん)ですか?」と言われ笑い転げてしまいました。「なんでクリリンの技が今出てくるんですか。」と言うと、先生も一緒に笑ってくれて。どんな話をしていても、そうそう気円斬なんて出てこないでしょうよ。なんだろうな、男性っていつまでも少年の心を持っているのかな。

以前出向いた学校の常任委員会で、今の各委員からさらにくじで指名委員を選ばなければならず、みんながそわそわしていました。その役割は次年度の本部役員を選出するというなかなかの大役だったので、避けられるならそうしたいというのが皆さんの本音だった訳で。そして、男性の教頭先生がくじの缶を持ち、マイクで話し始めてくれました。「子供達もたまにくじを引くことがあり、外れだと本気でがっかりしてリアクションですぐに分かるのですが、ここは大人の対応でお願いします!」と笑いながら伝えてくれたので、どっと笑いが起き、なんだか救われたようでした。「もうなっちゃったら仕方がないね~。」と広報委員のいつも温かい6年生のお母さんと笑い合い、引いたくじは真っ白!やった~!!本当に良かった!と思いっきり子供の対応をしてしまい、恥ずかしくなってしまいました。緊迫した雰囲気で和ませてくれた教頭先生の言葉に助けられたようでした。広報委員で全力で頑張る、そう決めたスリルと笑いの委員会でのひとコマ。

幼稚園年中の時、お遊戯会前に配布されたプリントには、当日どのような格好で行けばいいのかが書かれていました。髪型についても説明があったので、お迎えの時に担任のH先生に聞いてみることに。「髪の毛を立たせてきてくださいってあるんですけど、スーパーサイヤ人みたいにすればいいですか?」と言うとひとしきり笑ってくれて。「いや~そんなじゃなくて大丈夫です~。とりあえず立たせてもらえれば。」と一緒に盛り上がり、和やかな時間が流れました。そんなとても信頼していた先生が、まだ1学期の時に伝えてくれました。「遊びの時間にいくつかグループができていて、R君は男の子達とブロックで遊んでいたんです。そうしたら、いろんなグループを行き来していた男の子が、入れて~と言ったらなんだか入りづらそうな雰囲気で。その時、R君が入れてあげようよって言ってくれて、みんなもいいよってその子がスムーズに入れるようにしてくれて、とても助かりました。」「それは良かったです。R、優しくできて偉かったね。」そう言うと、クールに決め込んでいて。私はね先生、そんな息子のひと言に気づき、その優しさを大切にし、保護者に届けてくれた想いが嬉しかったです。表立って活躍するタイプでもない、それでも、人と人を繋げるそういった息子の“良さ”に気づいてくれた先生の気持ちに胸がいっぱいでした。

私の特性である繊細さは、そのまま息子へ。何冊か本を読む中で、彼もまたHSC(Highly Sensitive Child)だとほぼ確信しました。そして、私と同じように外交的な要素もあるので、彼の繊細さも隠れてしまうところもあるのだろうなと。自分を知ることは息子を知ることに繋がり、息子を知ることは自分を知ることに繋がるのだと分かった時、なんとも言えない気持ちが押し寄せてきました。二人きりになった時、私にしか見せない顔がある、それをどう受け止め、彼そのものを肯定しながら、自立して離れた時に自信を持って歩いてくれるのか、残された時間の中で向き合ってみようと思っています。
「『ママのことも、おばあちゃんのことも好き。でも、ママを苦しめるおばあちゃんはきらい。』そんなことを言われ、とても驚いたし反省しました。」とスクールカウンセラーの先生に話したことがありました。「小さいと思っていても心は成長していて、色んなことが分かってくるし、でもまだ子どもなんですよね。お母さんが、愛情を持って接しているのが分かるので、大丈夫です。そうやって、守れる人になっていくと思いますよ。」にこやかに言われた時、息子も、そして母親としての自分も肯定してもらったようで、ふと肩の力が抜けたようでした。誰かの言葉が、こうやって人を助けていく。

卒園式、園庭で伝えてくれたH先生の言葉が忘れられなくて。「書き続けてくれる限り、読ませてもらいますね。」と。まだいてくれていたら何を伝えよう。先生が届けてくれた全ての優しさは、私と息子の心に残っています。ありがとうじゃ足りないから、書き続けることで恩返しができるなら、ここにいようと思います。どうしようもなく辛くなったら、下駄箱で笑い合った時間をそっと思い出すから。一人の女性として、一人の人間として出会えて良かった。