感情が動くとき

今年の家族旅行の記事。せっかくなので、お世話になった旅館にこの場で書かせてもらったことを伝えると、とても丁寧に総支配人さんからメールを頂きました。

週末のある日、夜まで時間ができたので、一人で図書館の窓際の席へ。何気なくパソコンを開くと、そこには一件のメールが。なんだかよく分からないのですが、件名でどなたからの連絡か分かり、こみ上げるものがありました。そして、受け取ったのは本に囲まれた図書館。何かが優しく巡る時とはこういうものかもしれませんね。
『ご家族の大切な想い出の場所として選んでいただいたことを誇りに思います。お知らせいただきました素敵な想い出は、スタッフにもぜひ共有させていただきたいです。私も読んでいて想い出づくりの一役が担えていたように感じ、思わず嬉しくなりました。ありがとうございます。』そこに多くの言葉はいらない。どのように感じて頂けたのかは、十分伝わってくる感動の時間でした。文章って、言葉って、やっぱりお人柄が出るのだとそんなことまでも感じさせてもらった、嬉しい内容でした。

固有名詞は、敢えて出しませんでした。でも、記事の中にキーワードは残しました。それにより、読者の方が検索をかけてくれたら、気づいてくださる方もいるだろう。私の読者さん達は、丁寧だと感じることがとても多く、ここで司書だった力を小さく発揮できたら、なんだかそれが旅館の皆さんへのお礼にも繋がってくれたらと思っていました。総支配人さんが伝えてくれた、『またのお帰りをスタッフ一同心よりお待ち申し上げております。』という言葉。“行く”のではなく“帰る”ということ。ホームのような気持ちで、戻ってきてください。その心は、私だけでなく、沢山のお客様に届いているのだと、夜の図書館の窓に映る少し目が潤んだ自分の表情を見ながら、優しい気持ちになりました。

大学図書館にいた頃、新聞の配架をいち早くするよう、よく上司に言われた時のこと。それは、一人暮らしの学生さんがすぐに見られるようにする為。一人でいたら、情報を集めることも少ないかもしれない、誰かと会話をする取っ掛かりにもなるかもしれない。実際に会話が無くても、図書館という空間にいるだけで、人と触れ合えたりする。そのきっかけの一つが新聞であってくれたらいいと。「地方から出てきた1年生の学生さんは、まだ友達も少なくて不安もいっぱいだと思う。だからこそ、ほっとできる空間って必要だと思うんだ。挨拶を交わすだけでも、穏やかな気持ちになってくれたらいいね。」図書館という存在の意味。誰でも、いつでも、どんな時でもいらしてください。何もしなくていいから。そんな想いが、利用してくださる皆さんに伝わってくれていたらいいなと祈っていたことを改めて思い出しました。
「図書館の本は何冊借りられますか?」と聞いてくれた男子学生さん。何度も利用してくれていたので知っていたはず。それでも誰かと話がしたかった。その気持ちをどれだけ優しく受け止められていただろうか。

旅館の総支配人さん、なにか一つ目標に到達した時、それは肩書なのかページビューなのか分かりませんが、自分の足で一段上がれた時に、笑顔で帰ります。その時は、直接お会いできたらと願っています。
お金が貯まる祈りが込められている巾着袋のキーホルダーには、沢山の真心を詰め込んで。