人知れず頑張る姿

今日は、野球チームで一緒のS君のお母さんと話す機会があり、コーチ達の裏話を教えてもらい、すっかり盛り上がり、なんちゃって女子大生二人の出来上がり。やっぱり、旦那さんがコーチだと、内部事情も知っているので興味深い。外からと中から、どちらも感じることで、深く相手を知ることができるのかな。

今年最初の練習で、皆で神社まで走った後、もじゃもじゃなひげがトレードマークのご年配のコーチが、皆にマックのハッピーセットのおもちゃを配ってくれました。厳密に言えば、紙袋を監督に渡し、監督が子供達に手渡して、皆が喜ぶ姿を嬉しそうに見ていたもじゃコーチ。息子さんでもマックで働いていたりするのかなと、その時はぼんやりと思っていました。
そして今日、なんとなくその話を友達にすると、思いがけない返事があって、ほろり。「あのコーチね、実はもう80歳で、1年間ずっと一人でマックに通って、ハッピーセットを子供達の為に食べてくれていたんだって。人数分おもちゃが揃ったから、渡してくれたんだろうね。」すぐに言葉が見つからず、驚きや喜びが押し寄せ、奥深くにじわっと温かいものが流れてきました。どちらかというと、とっつきにくいコーチ。職人肌で、愛想がいいとは程遠く、体で覚えろ!というタイプ。内に秘めた愛情が、あまりにも深く、その気持ちをそっと隠す姿も、なんだか味があってじんわりしました。
そのおもちゃはね、息子がくみちゃんをやっつけようと企んでいたウルトラマンのフィギュア。本当に嬉しそうに持って帰ってきた息子の表情を、見てくれていたかな。そして、大きくなったらやはりこの記事を、息子に読んでもらわないと。分かりやすいだけが愛じゃないことに気づいて、胸が熱くなるはず。

そのコーチに、S君と息子が整列する時にじゃれ合っていて、ガツンと怒られたことがあったらしい。80歳のおじいちゃんコーチが、幼稚園児の男の子二人に本気で怒っていて、他の若いコーチ達は笑いを堪えるのが大変だったよう。そんなことで、そんなに怒らなくてもという雰囲気だったらしく、それでも厳しさの中にある優しさを分かっていたのか、当の本人達も怒られている実感はなかったよう。その話を後から息子に聞いてみると、「全然恐くなかった!」と笑っていました。コーチはみんな好き。だって優しいもん。雨が降ってお休みになると、八つ当たりをしてくるぐらい大好きな場所。私といるよりも、ずっと成長をさせてくれる。なんだかちょっと、肩の荷が下りたみたいです。

私がずっと応援している、中日ドラゴンズの与田監督。投手時代、ルーキーの開幕戦で、社会人になって最速だった147kmから、150kmを超えて投げた自分に驚いたそう。プロのマウンドと雰囲気により、潜在能力が覚醒。延長戦で三塁走者が中日の中村捕手にタックルした時は、「この野郎、ウチの大事なキャッチャーに何をするんだ!」と吠えてかかったそう。闘争心。ルーキーの初戦で奮い立たせた気持ちや投球は、与田監督の野球人生を変えました。

監督が招集した中には、その時バッテリーを組んだ中村武志コーチも。信頼しながら投げていた相棒から、監督、コーチという立場に。そこではどんな会話をするの?見えないところで二人の友情が育まれていたなら、野球の面白さをもう一度届けてもらおう。
自分が大きく変わった、“その瞬間”を知っている人だから。