帰るのを止める

最近タイトルがおかしくないか?!被らないように考えていると、段々こうなってきました。それでも気にしない。
少し前、夫と息子と三人でフードコートに行ったら、大きなテレビ画面で中日戦がやっていて、ふと隣の画面を見ると、楽天戦がやっていて、同時に二つの試合が観られるという状況に、じゃれ合っている男子二人をほったらかして真剣に観戦。一人だったら、帰るのを止めていただろうな。画面が大きければ大きい程、臨場感が伝わり、ナゴヤドームが恋しくなりました。

まだ実家にいた週末の朝、中日新聞のテレビ欄を見て、試合がある日は必ず父が自宅にいることを確認。その当時は、まだテレビ中継が延長されることもよくあり、延びれば延びる程、試験勉強に影響してしまっていた訳ですが、途中で止めることもできず、教科書片手に見入っていました。試合に負けると、機嫌が悪くなった父が勝手にテレビを消してしまい、その後のニュースが観たかったのにという言葉も飲み込み、パチンコに行く父を見送った夜。負けて悔しいのは分かるけど、テレビに当たるのは止めようよ~。
試合中継が延長されずに、試合続行の時は、父がラジオを引っ張り出し、リスナーへ。音が悪いと今度はラジオに八つ当たり。この人本気で面倒くさいなと冷静に見ていた、10代の頃。父のたばこ臭い車に乗っても、野球の実況がラジオから。今話しかけたら絶対に無視されるであろうと空気を読み、一緒に野球の世界へ。普通の父子に比べたら、圧倒的に会話は少なかったと思うのに、野球という一つのスポーツを楽しんだ時間は、本当は自分が思っていたよりも多かったのではないかと、ここまで野球漬けにしたのは紛れもなくあのおっさんなのだと、大型スクリーンを観て思いました。歓声も、バットにボールが当たる音も、投手がセットポジションに入るその瞬間も、何もかもが、優しい思い出を連れて来てくれるようです。

塾の講師をしていた頃、姉に、男友達にナゴヤドームに誘われたから、仕事が終わったらおいでとチケットを渡され、土曜日だったので早く切り上げることができ、そのまま走って外野スタンドへ。姉の携帯に電話を入れると、レフト側の真ん中あたりにいるよと言われ、もしかして敵側の応援席?!と思いながら向かい、姉達を発見。初めましての挨拶もそこそこに、周りを見渡すと、皆巨人ファン!!どうやら席が空いていなかったようで、オレンジ色のタオルをくるくるやっている中で、中日を応援しろと言われても・・・と思いつつ、そんなアウェイの雰囲気も楽しんでしまった方がいいような気もして、球場全体の盛り上がりを吸い込みました。姉の男友達が連れてきた男性二人とも、すっかり溶け込み、中日ファンの五人はよく分からない仲間意識が芽生え、それはそれで楽しくて。ナゴヤドームというホーム球場に、敵地の応援団席にいたという体験はなかなかできない貴重な時間でした。さすがの私も魂を売って、巨人を応援する気にはなれず。それでも、やっぱり帰りたくなかったのは、野球のあの雰囲気が好きだから。選手を応援する気持ちは、皆同じだったから。

その後、高校の男友達が、チケットが手に入ったからとライト側のいい席に案内してくれました。「どうして私を誘ってくれたの?」「お前以上に野球が好きな友達を知らないから。女性でここまで好きって相当珍しいぞ。せっかく観に行くなら、試合が分かる相手の方が面白いだろ。」中日の応援団が沢山いるライト側スタンド。そんなホームの雰囲気を感じながら、連れ出してくれてありがとうと思いました。彼もまた、私が自宅には帰りたくないことを密かに気づいていた一人でした。
最後に行ったナゴヤドームは、友情を改めて感じさせてくれた大切な場所。