円を大きくしていく

自分のパターンであるぐるぐる思考。ひとつ辛いことがあると、小さな円の中をずっとぐるぐるしてしまう傾向があり、それでも時間と共に頭を整理し、その円をゆっくり広げて楽になっていくこともまた知っていました。どこかに必ず出口はあり、光が射し込む場所もあって、一歩外に出れば話を聞いてくれる仲間もいる。それでも、その渦に大切な人達を巻き込みたくなくて、自分の中で解決できるまでゆっくり顔を上げ、そのぐるぐるのスピードを調整しながら納得がいくまでそこにいるのかもしれません。その理由のひとつは、母の渦に散々巻き込まれてきたから。自分が苦しかったことを誰かには絶対したくないと思っていて、だからこそマイナス思考に陥っている時は、上がれるまで一人でいたいんだなと。うずくまりそうな時にいつも通っていた図書館。その空間に行くとほっとしました。自分が自分ではなくなってしまいそうな不安感ではなく、自分を取り戻せる場所でした。どれだけサイトが大きくなっても、ここに来てくださる方が、ほっとできる架空のカフェでありたいと思っています。どうかお店のドアを閉めて外に出る時、青空が広がっていますように。

年末、息子と我が家の大掃除をして、家の中はすっきりしました。そして、目の手術をした母から今年も掃除に来てくれないかと言われたので、二人で出向くことに。すると、笑ってしまうぐらい汚れていて、睡眠が無事に取れていたことに安堵し、本気の大掃除が待っていました。息子は母にお願いし、二人で買い物に行ってもらうと、コロナワクチンを打った父が帰宅。言いたいことは山ほどあったものの、余計なエネルギーは使いたくないと思い、黙々と作業をしました。実家でも、岐阜の社宅でも似たような汚さだったなと今さら思い出して。綺麗好きな祖父に、なぜか私が怒られて何度嫌な思いをしたことか。たまたま和室を掃除すると、それが当たり前になってしまい、試験前に何で今日はしていないんだと母にキレられたこともあったな。怒りの矛先が全部こちらに向かったら、そりゃ私も痛いよねと今さら冷静に思いました。水回りを全部磨き、へとへとになって帰ると息子が伝えてくれて。「ママ、本当に大変な中頑張ったね。どこもピカピカだったよ。」このひと言で疲れがふわっと軽くなったようでした。「ありがとうね。感じ方って人それぞれだから、一概には言えないけど、とにかくおばあちゃんは物に囲まれていないと落ち着かないのかもしれないね。綺麗に揃えてあったらまた違うんだろうけど、苦手なんだと思う。これはお母さんの価値観なのかもしれないけど、本当に大切な物って少しで、一番は心の中にある気がするんだ。なんだか今日は色々と考えさせられた~。」と本音を吐き出すと、笑って聞いてくれました。偉そうなことを言ってしまったものの、では実際に火事が起きた時、慌てて何を持ち出すだろう。息子、バッグ、くみちゃん。バッグの中にスマホとキャッシュカードは入っているだろうし、それ以外で何か1つだけ持ち出せる時間的な余裕があったとしたら、息子が大事にしているくみちゃんを連れ出すだろう。「ボクが寝ている時に、くみちゃんは起きていると思う。魂があるんだよ。」と不思議なことを言うくらい大切にしている家族。息子の宝物を置いていく訳にはいかない。

大学時代、男友達に誘われて一度だけバイトをしたナゴヤドーム。レフト側で年間シートを購入されたお客様へ、売店でひたすらビールを渡していました。その日の試合は中日対ヤクルト。ビニール傘が開くと、父と観に行ったナゴヤ球場を思い出しぐっときて。「お父さん、ヤクルトのファンって雨が降った時傘があるからいいよね。」そう話すと隣で笑った父。そして、ドームで雨は絶対大丈夫でもやっぱり傘なんだなと嬉しくなりました。その時の試合はヤクルトがリードで、9回のマウンドに上がったのは背番号『22』の高津投手でした。ヤクルトの守護神、その背中は大きく見えて。高津投手が出てきたら抑えられるかもしれないなと思っていると、呆気なくゲームセット。レフト側の売店のモニターから見ても、その姿は堂々としていました。長い時を経て、この世に生を受けた息子はヤクルトファンに。高津監督が大好きで、インタビューは欠かさず見ていました。「高津監督ね、現役の頃はリリーフピッチャーだったから、リリーフの投手の気持ち、本当によく分かるんだと思う。」この言葉が意味するもの、なんとなく彼の中で分かってくれているようでした。自分の経験を、思いを包括して今度は選手達へ。
そして、最近になり、マクガフ投手がダイヤモンドバックスに入団が決まったと伝えると、歓喜し、両親宅へ向かいました。「ボクね、ヤクルトのキッズ会員になったの。2月にリュックとつば九郎のユニフォームが届くんだ!」と祖父母に自慢気に話す息子。まさか孫がヤクルトファンに、しかも超熱いファンになるとは思ってもいなかった父。ナゴヤ球場で日に焼けながら中日を応援していた子供の私と父は、こんな未来が想像できただろうか。岐阜の社宅で、中日戦を観ながら、紙吹雪を切っていた小学生の私に父がひと言。「そんなに持って行くのか?!」と呆れていたので、反撃することに。「ツルツルの広告の方が投げた時にお姉ちゃんが綺麗だって言っていたの。選手達を応援する気持ちなんだから、多い方がいいの!」そんな会話の後、父と観に行ったナイター。中日の選手がヒットを打つ度、こちらのビニール袋に手を突っ込んできて紙吹雪を撒き、勝手に盛り上がる父。お父さん、そんなに持って行くのか?!って言っていたじゃん。お父さんが使うからあっさりなくなりそうだよと内心思いながら、めちゃくちゃ盛り上がったドラゴンズ戦。受け取ったものは、息子に渡され、沢山の感動が心の中に残ってくれました。どこからともなく始まるナゴヤ球場のウェーブ。くるぞ、くるぞ!と言われ、両手を挙げて席を立ち、わーっと叫んだいくつもの夜。息子と行った神宮は、1勝2敗。でも、その2敗ともライト側上空に花火が上がりました。球場の円がひとつの花束になった時。その喜びをまた誰かに渡すから、優しさが広がるのだろう。正の連鎖、どんな時も大切にしたい。