感動の共有

私が好きな本のジャンルは、小説やエッセイが多いです。映画やドラマを見ると原作が読みたくなり、その逆もあり、もっと知りたくなって、その作家の方が書くエッセイを読みたくもなりました。
どんなことに興味があり、どんな考え方をされているのか、そこには素の日常がある気がしたからです。

そんな偉大な作家の方と私とでは、天と地ほどの差ですが、読んでくださる方の中に、野球に興味が無かった方が、このサイトをきっかけにそのスポーツの素晴らしさを少しでも感じてもらえたらと願いながら、シーズンオフになっても余韻に浸っている野球の話。

好きな球団は、地元の中日ドラゴンズだったのですが、関東に来てからはあまり決めていなくて、野球そのものが好きなので、どのチームも応援しています。
今年の日本シリーズは、福岡ソフトバンクと横浜DeNAでした。6戦目に、ソフトバンクが負けるかもしれないという9回裏の場面で、内川選手のホームランは全ての想いをその球に乗せているような大きなもので、同点に。
WBCでの敗戦から、チームに戻り頑張ろうと思った中でのけがでの離脱。復帰後のあの一発は、諦めない気持ちをファンに向かって乗せた、とても意味のあるものだと、野球の醍醐味を改めて感じました。

その対戦相手DeNAのラミレス監督は、ベネズエラ出身。現役時代、ヤクルトで大活躍した後、巨人でも十分な結果を残し、そこで知り合った通訳の方と一緒に、DeNAに移籍。
2000本安打を達成した会見で、通訳のことを聞かれると、当時のラミレス選手はこう答えました。「巨人時代の時から、通訳としてではなくBest Friendだと思っている。彼は常に僕を正しい道に導いてくれ、僕のことを何でも知っています。僕が今日歴史を残せたのも、彼の力が大きいのです。彼が一緒にいてくれて僕は嬉しいです。」

隣にいた通訳の関根さんは涙が溢れ、思うように訳せなくなりました。そんな中で、ラミレス選手は関根さんの肩を優しく叩き、一つ一つの言葉を噛みしめるように、会見の中で精一杯の想いを記者に訳して伝えた姿をテレビで見て、二人の絆の深さが優しく伝わってきました。

野球や英語を知らないと、プロ野球選手の通訳は務まらない。それだけでなく、関根さんはラミレス選手の性格を把握し、文化の違い、もっと二人にしか分からない沢山のことを伝え、届けた。その気持ちをラミレス選手はずっと大切にしていて、だから一緒に移籍した新しい球団で、大記録を達成できたのは自分の力だけではないと、隣にいてくれる親友と一緒に掴んだものだと、感謝の気持ちを公の場で伝えることが、ラミレス選手の彼に対する信頼の大きさと優しさなのだと。

関根さんは、一体どれだけ嬉しかっただろうと、ふと日本シリーズを見ながら思い出した時、ラミレス監督の元で活躍している選手の皆さんも似たような気持ちになったのかな、だから、今この舞台にいるのかな、そんなことを感じました。

自分がもらったから、伝えられる、そこには忘れられない信頼関係があるから。