息子がふと何でもない会話の中で伝えてきました。「ママって水まんじゅうに似ているよね。」??どうして水まんじゅう?おまんじゅうじゃだめなのか?なんでわざわざ透明にしてくれる?そもそもそんなに丸顔じゃないしとあれこれ思いながら、理由を聞いてみました。「いや~なんとなく。」とこれまた微妙な返事。「ああ、でもやっぱりチョコポッキーかも。細いから。」ん?体型の話?「お母さんがチョコポッキーならM伯母さん(姉)もそうだよね。」「そうだね、なんとなく似ているよね。」なんなんだこの会話は!と思いながらも二人でわいわい。そして別の日の夕飯、食材についてあれこれ好みを伝えてくるので、息子のこだわりを笑いながら聞いていたら、ぽつりと最後に言ってくれました。「ボク、面倒くさいんだよ。」ふふっと心の底から笑いがこみ上げて、なんだか自分まで楽になったようでした。息子の特性であるHSS型HSC(好奇心旺盛だけど繊細な子供)を、本人も自覚し始めてくれていて、自分のこだわりによってママを少し困らせているのではないかとこちらを気遣いながらも、でもママもそうだからまあいいかと本音を漏らしてくれたことが分かり、ひとしきり盛り上がりました。「Rがブッフェを好きなこともなんとなく分かるよ。自分の好きなものを好きなペースで好きな分だけ食べたいんだよね。栄養のバランスも大事だから、お母さんもうるさいことをたまに言ってしまうけど、こういうことをすると自分が心地いいんだなって思えることは大切だから、そういうことを沢山増やしていこうね。」そう言うと、嬉しそうに笑ってくれました。好きなことを抱きしめられる自分っていいね。
そしてまた、横浜家庭裁判所へ行くことに。その日は曇り、今回も決まらないかなとなんとなく感じていたので、気持ちを落ち着かせようと早めに出て、いつものように日本大通り駅で降りました。すると、11月の紅葉が横浜の街並みととても合っていて、季節が変わり、その景色にぐっときました。のんびりと歩き、横浜スタジアムの横浜公園へ。3回目ともなると、寄り道する余裕さえ生まれてしまい、ベンチに座ってぼーっとしていました。私は、夫のいろんな姿を知っていて、それは彼のご家族よりももっと深く、それこそこんなに分かっているのは自分だけだろうと訳の分からない自信があって。色々なことがあった10年間、彼と過ごした年表の色は、それはもうバラエティに富んでいて、それを思うと本当に蜜の濃い時間でした。まだ籍が入っていて別居している今の心境はどんななのか、過程を伝えることも大切な気がして、横浜スタジアムを見上げながら、頭を真っ白にして考えてみることに。夫と結婚できたこと、離婚すること、その選択に何一つ後悔はないということ。それを思った時、ふと自然に笑うことができ、このままさぼって弁護士の先生とリモートでやりとりをさせてもらおうかなといたずら心も浮かんだものの、おとなしく裁判所へ向かうことにしました。そう、未来へ向かう大事な一歩。
その後、待合室で先生と合流すると、予め伝えていた息子の特性の話をして、今回も一人で調停に行ってもらいました。戻ってくると、繊細さの理解を得るのはなかなか難しいと中身を話してくれて。息子と私の場合、ずば抜けてしまっている所がある、寒暖差があまりにも大きいと金づちで殴られるような痛みが走り、途方に暮れることも。その痛みを時と場合によっては、明るく振舞いなんでもないふりをしてしまう変な我慢強さもある、だからなかなか周りには分からないのも無理はないだろうと。今度は私が直接説明に行きますと伝えたものの、それは次回にしましょうと先生が私をどこまでも守ろうとしてくれていることが分かり、胸がいっぱいになりました。今日、話をまとめるのは難しいことをなんとなく感じていると、先生が自分のスマホを見て、今日こんな事件があったみたい!と5年前から友達?!という雰囲気で画面を見せてくれるので一緒に笑ってしまって。先生ありがとう。裁判所の待合室だと一瞬忘れそうなぐらい、楽しいひとときでした。この時間を忘れません。それからも、HSCの資料を先生に渡すと、息子が抱える生きづらさを分かろうとしてくれて、泣きそうになりました。歩み寄ろうとしてくれるその気持ちがもう救いなんですよ、先生。その姿を見ていたら、それでは私が子供の頃、誰かが自分の特性に気づいてくれていただろうかと考えを巡らせてみました。・・・いた!たった一人。それは、4歳上のネネちゃんでした。
HSP、HSCという概念が出てきたのは最近の話、それでもまだ子供だった姉は、私のデリケートさに気づいていました。とても鋭く、直球しか投げてこないので、グサッと来ることがあったものの、それも含めて妹の辛さをもう少し和らげることはできないかと、考えてくれていて。「Sさあ、空気を読み過ぎなんだよ。もっと子供らしくていいのに。すごくいろんなことを気にするし、それでは自分に疲れちゃうよ。よく吐くし、よく調子崩すし、じゃあSが精神的に弱い子かって言われたらそうじゃないんだよね。環境がそうさせているのかなあ。」そんな言葉をかけてくれた姉が、不妊治療中に心理学を学び始め、点と点が少し繋がってくれたようでした。「鈍感なお父さんが、敏感なSちんの気持ちを分かろうともしないのが悲しいよね。なんだか私も良く分かっていなかったから、色々と言っちゃってごめんね。Sの心は網の目が細かいからとにかくいろんなものをキャッチしちゃうのが分かった。人の気持ちも、天候などもそう。どうやったら楽になるのか、もう少し考えてみるよ。」隣にいる弁護士の先生が、昔のネネちゃんと重なり、言葉が聞こえてきて涙が溢れそうになりました。私や息子が抱える辛さを書くことで、誰か一人でも心が軽くなってくれたなら。だめな自分じゃなくて、大事な個性を宝物だと思ってもらえたなら。
「先生、今日もありがとうございました。」いつものように笑ってお別れ。離婚が成立すれば、先生との別れも待っている。寂しいけど、胸を張って歩き出そう。
「ただいま!」「おかえり~。ボク、明日の図工で使う材料を自分のお金で買ってきたよ!」「えらい~。レシートもらったらお金渡すね。できることがどんどん増えていくね。今日からRの頭痛記録付けて行くよ。どんなサイクルで痛くなるか知っておこうと思って。起き上がれない程の痛みが10としたら今日はどれぐらい?」「う~ん、5かな。ボクね、0ということはないと思う。最低でも1で、何かしらに反応して痛いんだよ。」同じ感覚の仲間がいた!と嬉しいやら心配やら。「分かるよ。もしかして年を重ねるごとに酷くなってる?」「うん。ママもそうだった?」「一緒だね。でも、その辛さがきっとまた誰かを助けるよ。お母さん、あなたのそんな深い優しさが好きよ。」そう伝えるとにっこり笑ってくれました。頭痛が深夜に悪化し、何度も起きてきた息子。くみちゃんとくりちゃんがいてくれたらWパワーだと言って握りしめて寝てくれました。彼の個性が自信を持って輝くその日まで、澄んだ水を届けよう。濁らないように自分も頑張ろう。ここにいたら、きっと大丈夫。ハート型のさくらの花びら、届いていますか。