週末が近づくと息子がいつも聞いてくる質問。「土曜日はどこに行くの?」これはこれでなかなかのプレッシャーなのだけど、一緒に出掛けることもどんどん少なくなっていくだろうと思い、とことん楽しもうと思いました。難産で生まれてきた数日後、退院前の助産師さんからの説明があって。男の子は離れるのが早いから、その分甘えたがる、だからその時間を大切にしてほしいと。それから10年、いろんなことがあったな。どの日を取っても、お互いの心はそばにいた。さあ、そっと離れるウォーミングアップを始めようか。友達は一生の宝、それを知っているからその関係を育む姿を見届けよう。気持ちが嵐の日に、そばにいてくれた仲間のぬくもりに涙が溢れることもあるだろう。その時受け取ったものを消さないで。
さてさて、土曜日は電車を乗り継ぎ、車のシュミレーションなどができる施設で遊んできました。タイミングが悪く、その日は明け方に起きてしまい睡眠不足、久しぶりの顎関節症にもなってしまい、コンディションはいまいち。弱っていたからか、10年後の自分が今日という日を思い出している姿が想像でき、ひとつひとつの時間を拾っておこうと思いました。そして、へとへとになって近くのカフェに入ると、心地のいいBGMが流れていてほっとして。そのカフェは、随分前に息子と訪れた場所でした。レジで先にポテトとドリンクを注文し、小さな数字が書かれたプレートを受け取ると、その前の人が番号を呼ばれ、受け取りに来たのを見たまだ小さかった息子は、私にぽつり。「次は、僕達の番だね!」わくわくして伝えてくれた会話を若い女性店員さんも聞いていて、にっこり微笑んでくれました。その優しい光景を、同じレジに立った時、思い出して。前回よりも大きなサイズのポテトを注文する息子がいて、時の速さとこんなひとときに溢れそうでした。緩やかな時間が流れた店内、正面に二人座ると、夕方の光が射し込み、そしてあっという間にライトアップに変わりました。ねえR、お母さん“強さ”ってまだよく分かっていない所があるの。でも、小さくても一番真ん中に強さがあったら崩れないのかな、それを“信頼”と呼んだりもするのかな。心の中で問いかけてみました。二人でほんわかと過ごした時間、今日という日を忘れないだろう。
そして、買ってきた車の工作を夜に二人で作り、ようやく就寝。翌日は、新しいサッカーボールといつものキャッチボールをする約束をしていたので、広い公園へ向かいました。顎関節症は、左側。筋肉は繋がっているので、左腕を酷使したら悪化するのは分かっていたものの、週明け休めばいいと思い、いつものように遊ぶことに。ドッジボールとキャッチボール、最後にサッカーをすると疲れはピークに。この寒い中、小5男子と2時間遊んだら、そりゃ体力もついていかないよねと思いながら、一人でも遊べるようにリフティングを教えました。見本を見せると、「ママすげー。」と言われて。中学の体育の授業、サッカー部男子が中心になり、サッカーの練習がありました。体育の先生は、いつも主体的にスポーツを楽しめと言っていて。だから、サッカーはサッカー部、柔道は柔道部をリーダーに置き、男女入り混じって教わる時間が好きでした。その中で学んだリフティング。もう30年も経つのに、まだ体が覚えていたなんてね。4回しかできなかったけど、息子に教えることができましたよ、先生。5回を宿題に出したら喜んでやっていました、みんなの声が聞こえて元気が出ました、恩師にこの声は届くだろうか。
散々盛り上がった週末、月曜日の朝になり、痛みが酷くなっていたので、これは接骨院に行った方がいいと判断し、新規開拓の場所に電話をすると、当日予約を入れることができました。家事を済ませ、初めての接骨院に行くと、前の患者さんとすれ違い、年齢の近い男の先生が一人待っていてくれました。問診票を書き、状況を説明するとよく理解してくれて。とてもゆっくりお話をされる方だな、そう思いました。そして、マッサージを受けながら、少し前の話題に。「僕、ちょっと前に河川敷で鹿の親子を見たんです~。この話をしても誰も信じてくれないんですけど。」「信じます!信じます!!」とこちらが張り切って言うと、思いっきり笑ってくれました。異空間、全く二人だけの世界に優しいオルゴールのBGMが流れていて、自分に少し優しくなれた気がしました。そして先生が、あまりにも左側全体が凝っているので、最近何かやったかを聞いてくれて。「昨日、息子とキャッチボールをしていたんです。」「左腕全体がパンパンなんですよ。ここまでになるまで一緒にキャッチボールしてくれて、お子さんは幸せですね。」その言葉を聞き、わっとこみ上げそうでした。肌を触ったから分かること、それをこんな風に伝えてくれる人もいるんだな。表現がおかしいかもしれないけど、その言葉はプライスレスで、どんな高価な物よりも涙がこぼれそうな気持ちのこもったプレゼントだと思いました。初対面だよ、それでも柔らかさを持って心を通わせることもできるのだと。
施術が終わり、軽くなった体で受付まで行くと伝えてくれました。「効果は少しずつ表われますから、また辛くなったらいらしてくださいね。」そう言って湿布も用意。おみやげ付き!と思いながら、よく分からないテンションで喜んでしまって。その気持ちがね、なんだか嬉しかったんだ。
「ママって宇宙人?」とたまに息子は言う。そんな訳はない。(当たり前だ!)「どうしてそんなに人のことが分かるの?」「きっとそれはね、相手によるよ。Rの場合、分かりやすいもん。」そう言うと笑ってくれました。繊細だから、いろんな気持ちが交錯して内面で絡み合ってしまう、でもその困難さを見せてくれるから、一緒に解決したいと思う。でね、真ん中にあるものはきっとシンプルなんだよ。今年は、来てくださる方にどんなおみやげを持って帰ってもらおうか。1日1回、空を見上げて笑ってください。雲がドーナツに見えるかも〜。