念願のリトライ

去年の春、息子とプログラマーのMさんとリーグワンのラグビーを観に行ったものの、まさかの土砂降りで試合は続いていた中、やむを得ず前半で引き上げることに。それが本当に悔しかったので、今年も同じ対戦相手で秩父宮まで観に行くことに決めました。ファンクラブのサイトからチケットをゲットし、気持ちはラグビー場へ。そして、その所属チームにいたラガーマンTさんにもメッセージで報告。文面からとても大事な一戦であることが分かり、燃えてきました。推しがあるってそこに向かっていけるからなんだかいいな、そんな嬉しい気持ちに包まれ息子と応援準備を開始。当日の朝は快晴、グッズを詰め込みいざ秩父宮へ。後悔のない1日にしよう。

電車に乗り、なんとか座れたものの人は一杯。乗り換えをし、隣に座ったのは同じチームを応援する若いお父さんと男の子でなんだかほっこりしました。そして改札を出ると待っていてくれたのはMさん。三人で気持ちのいい空の下を歩き、秩父宮に到着するとすでにイベントをやっていて、その熱気に胸が高鳴りました。同じチームカラーのスタッフさんやファンの方達が沢山いて、みんな仲間なんだなと嬉しくなって。そして、先行入場をさせてもらい、席に荷物を置いてイベントに参加。所属チームの選手からボールを受け取り、パスやキックをさせてもらい、一緒に写真を撮った後、握手をお願いすると、本当に大きくあたたかい手で心の温度が直に伝わり泣きそうになりました。熱いハートは本物だなと。その後、息子へマスコットキャラクターのぬいぐるみと私には石川の復興支援バンドをMさんがプレゼントしてくれて、二人で大喜び。”がんばろう能登、がんばろう石川“手首に付けてラグビー場から応援、この想いが北陸へ届きますように。その後、バックスタンドで昼ご飯を食べ練習風景を見た後、いよいよキックオフ。日本代表としてワールドカップで大活躍してくれた選手が、目の前でプレーしていて感無量でした。そして、現役を引退してずいぶん経つTさんがみんなと同じユニフォームを着て躍動している姿がなぜか自分の想像の中で流れ、胸がいっぱいに。出会ったのは通っていたシェアオフィス。受付のスタッフさんでいた彼がラガーマンだったことを知り、現役時代を見てみたかったと仲良くさせてもらってからずっと思っていました。その彼が、みんなの中でボールを持って華麗に走っている姿が目に浮かび、それはきっと現役を離れた今も走り続けている人だからなのだろうと、いろんな気持ちがこみ上げて。そういえば、ラグビーの話で対談をさせてもらった時、東北の復興支援の一環で被災地の子供達にラグビーを教えに行っていたと話してくれたこともあったな。その時の彼の目が、キラキラしていてぐっときたことを思い出しました。Tさんが今育てている中学生のラグビースクールの子供達が、高校や大学、リーグワン、そしていつか桜のジャージーを着て活躍してくれるそんな日を夢見て、日々沢山のものを注いでいることが試合の中で流れ込んできて、いい時間でした。彼の監督姿も追いかけなければ。

さてさて、息子はというと意外な暑さでばててしまい、屋根のある席へ移動することに。すると気持ちのいい風が吹き、ようやく落ち着いてくれました。そして、Tさんと同じ部署にいてずっと応援していた選手が、交代でピッチに入ってきてくれて感極まりそうになりました。去年、土砂降りの中で見かけた時は応援席の近くですれ違い、なんだか声をかけたらいけないような気がしてそっと見守りました。その後、怪我を乗り越えまたグラウンドに戻ってきてくれた姿を見た時、私自身も簡単に諦めるのはやめようと思いました。諦める時は本当に何かをやり切った後ではないか、そして自分に納得できた時ではないか、ずっと応援していた選手が勇敢にぶつかっていく姿を見てボッともう一度心の中で火が点いたようでした。結果は、惜しくも敗れたものの、相手チームを称えるノーサイドの精神は観客にも広がり、優しい空気が流れました。試合結果を見て、○○さんがっかりしただろうなというTさんの気持ちを感じ、ちょっと笑ってしまって。どんな時も応援しています!!そう約束したから。勝ったらもちろん嬉しい、でも負けからいつも沢山のことを教わっていて。相手チームのトライが決まる度、同じチームカラーのユニフォームを着たファンの仲間が拍手を送っていました。その姿勢に敬意を払いたい、そう思いました。同じスポーツを愛する者として、いつもそこには沢山の学びがあり、リスペクトがあり、その空間にいられて優しい気持ちに。悔しい負けだったはず、それでも帰りのグッズ売り場にはまた列ができていました。そして、帰っていくお客さん達に笑顔で見送るスタッフさん達。何か大事なものが、ここにはあるのだと思わせてもらった帰り道。どの席に座っていたファンの方達にも、整列をしてお辞儀をする両チームの選手達に大きな拍手を忘れたらいけないな。

そんなほっこりした観戦後、神宮球場の横を歩いていると、ヤクルト対楽天のオープン戦がやっていて、また息子とテンションが上がってしまいました。わーっという歓声、聴き慣れた応援歌、やっぱり堪らないね。その後、『つば九郎ハウ巣』に寄り、国立競技場の横を通ると何やらやっている様子。張り紙を見ると、関東学連春季オープン競技会が開催されていることが分かり、入れてもらうことができました。広くて綺麗な空間、ここで東京オリンピックが行われたんだよね、それを思うと大きな社会見学だなと思えて感激。そして、走り幅跳びの競技を目にした時、小さな痛みが胸を掠めました。自分を超えられなかった3年生最後の中学陸上部春の大会、悔しさが残っていて。それでも、もっと思い出すのは恩師の想いでした。負けから学べ、その悔しさ絶対に忘れるな、この大会でSがやってきたことが全部崩れる訳じゃないだろう。3年間みんな見ていたぞ、胸を張って帰れ。涙が溢れ、顔を上げられない私にそれこそ恩師にしか伝えられない言葉で届けてくれました。その時も空が透き通った同じような快晴、その空は繋がっている、そう思わせてくれた一日。リトライ、決めに行くことを忘れない、どんなことがあっても。