こんな時こそ笑おう

また学校へ行く用事があり、少しだけ担任の先生とお話をさせてもらいました。「この間、ちょっとだけ元気がないから、パワーを分けてくれ~って授業中に言ったんです。そうしたら、皆が両手を上げてこちらに向かって、ハアッてエネルギーをくれたんですけど、一人の男の子だけかめはめ波だったんです。逆にやっつけてどうするって。」そう言われ二人で大笑い。いい先生なんだろうな、体が辛い時があってもいい、それを正直に話して皆で笑おうよ。そんな先生の気持ちが伝わり、大切なことを感じました。それは何より、心を育てようとしてくれているということ。

そんな嬉しい気持ちを抱えながら帰宅すると、これまた息子が突拍子もない話を始めてくれました。「ママ、昔の人ってね、棒を持ったりして自分でお魚とかを採っていたんだよ。大変だよね、ローソンないし。」一行目はまあいいわ、それは社会科の教科書でお母さんもずっとそう思っていたから。でも、なんでその内容でいきなりローソンが出てくるんじゃ!何かとんでもなく飛躍しすぎじゃないか!その発想に笑いが止まらなくなってしまい、息子と意味もなく笑い転げてしまいました。そんなにおかしい?とまだ疑問を投げかける7歳児。自由な意見、大切にするんだよ。それで和む人がいるなら許可する!!

ようやく腹筋の運動から解放された翌日、久しぶりに主治医の所へ行ってきました。相変わらず入り口での検温、まだまだ気を緩めてはいけないのだと感じながら、待合室へ。呼び出された番号が微妙に違っていたので、ぼんやり待っていると、1分後に自分の番号にすり変わっていたことが分かり、主治医のケアレスミスを心の中で笑いながらご挨拶。「最近調子はどう?」何涼しい顔をしているんだとなおさら笑えてきて。病院へ行き、緊張感なく会える医師に出会えたことに感謝しなければ。
そして、ずっと聞こうと思っていて忘れていた話を振ってみました。「先生、○○先生ってご存知ですか?」名字だけ伝えたのでピンとこなかったらしく、フルネームで伝えると急に思い出したのか、ああっ!と珍しく大きな声を出されたので、こちらまでびっくりしてしまいました。「知ってるよ。講演会にも行かせてもらったことがあるし、論文も読ませてもらったことがある。僕の上の代は、その先生と共同研究もされていてね。」「そうだったんですね!その先生、私が大学図書館にいた時、ものすごく可愛がってくれた教授で、頭痛があった時漢方を最初に勧めてくれた先生だったんです。」そう話すと、一瞬間があり、そして微笑んでくれました。「今は、京都に戻り、介護を受けながらも研究を続けていらっしゃいます。」患者の私からそんな話が飛び出すとは思わず、いつも穏和な主治医がさらに柔らかくなったような、不思議な感情をこちらに寄せてくれました。そこには、間違いなくその先生に対する敬意が感じられ、私まで胸がいっぱいに。

そこの大学図書館で働き始めた当初、まだ先輩に教わることばかりで、全然余裕のない時、右手で杖を突いて、左手で雑誌を抱えてドアを開けにくそうにしている初老の教授を発見。慌ててドアまで走り、開けながら「どうぞ。」と笑顔で促すと、とっても優しい笑顔でお礼を言ってくれたのが最初でした。後から、先輩がこっそり情報を教えてくれて。「前の図書館館長を務めてくださったの。館長が変わってもずっと図書館のことを大切に思い、ご自身の雑誌などを寄贈してもらっていてね。量が多いから寄贈コーナーがあるよ。」その場所を案内されると、書架半分が埋まっていて、本当に驚きました。そして、後日、他の雑誌を配架していると、また杖を突いてご自身の場所に自分の手で並べている先生の姿を見つけ、慌ててお手伝いに行きました。「先生、私達が配架するので事務室で声をかけてください。先生の手を煩わせてしまって申し訳ないです。」「いえいえ、皆さんお忙しいですから。自分の雑誌なので気にしないでくださいね。」「本当に私達の仕事なので。」そう言うと、今度お願いしますねと笑顔で言われ、そっとその場を後に。それからもご自分で配架しようとされるので、先生の姿が確認されると慌ててお手伝いに行く、そんなことが繰り返されるうち、すっかり仲良くさせてもらう中で伝えた頭痛。そこで教えてくれたのが、先生が研究をされている漢方でした。自分が先生の漢方の雑誌を配架し、司書として、本当に小さな小さなお手伝いをさせて頂き、それが頭に残り、検索をかけて辿り着いた主治医。その名医が、その教授の論文を読み、知識の幅を広げてくださっていたという事実に、溢れそうでした。こんな風に、人はどこかで繋がっているのかも。尊敬する二人の先生、患者さんの為に、必要とされている方の為に、今自分にできることを精一杯やる、それだけのこと。学びが多すぎて、偉くなっても、気持ちがいつも優しくて、繋がっていたという神秘にものすごいパワーをもらったようでした。

「先生、息子は元気に学校へ行っています。」別れ際立ちながらそう言うと、にっこり笑ってくれた医師。あなたが日常を取り戻すことは大切なこと、それは良かった、表情がそう言ってくれていました。笑ってお別れ、そんな診察終了が、足元の石ころを気持ちよく蹴飛ばしてくれる。