形を変えてみる

何気なくプロ野球を見ていた夜、選手がバッターボックスに立つと前の打席等の内容が表示され、『二直』の文字に目が留まりました。これは、セカンドライナーだよねと頭が動き出して。高2の体育授業で、男女混合ソフトボールをやっていた頃、毎回試合が終わると、自分のファイルに今日の打席と総括を書かなければならない時間がありました。スペースがあまりなかったので、詰め詰めに書いていたのだけど、漢字で表現すればよかったのか~と今更気づいて。第一打席『二直』第二打席『遊直』第三打席『素直』第四打席『実直』第五打席『愚直』とか書いておいたら、ノリのいい担任の体育教師はアイツなんのアピールだ?!何言っちゃってんだろと半笑いで、聞いてくれたかもしれないなと。「50分の授業で回ってくるのは大体二打席です。当たりはいいのに、ショートにいる野球部男子にいつも好捕されるので、なんだか悔しくて、三打席目からは勝手に自己アピールでもしておこうと思って。」まあ、こんなことでも言っていたら思いっきり笑ってくれただろうな。野球部監督であった恩師、成績には何の反映もされないけど、野球好きなことと、ボケるセンスは褒めてやる!そんな声が聞こえてきそうだ。

夏休み最後の1週間、さすがに2学期初めにあるテストに向けて勉強を始めようと息子を促し、試験範囲を見てみると、全くやっていなかった白紙の数学ワーク15ページ分を発見。しかも彼が苦手なジャンルで、全部こちらの説明が必要じゃないかと愕然として。5教科テストがあるんだよ、1教科に時間を割いている場合じゃないんだよなとさすがに怒り、ゆっくり気持ちを立て直そうと二人で取り掛かりました。連立方程式、まだ計算問題はなんとかなったものの、文章問題になると一緒に苦戦して。当日券だと正価なのだけど、前売り券だと大人は〇パーセント安くなり、子供は〇パーセント安くなり、とかなんとかかんとかそんな問題。%の文字が頭に浮かび、数字を追っていると、大学図書館勤務時代のことが再生されました。男性の上司に仕事を頼まれて。「これね、外部に出さなければならない資料で、去年の入館者数や貸出冊数など、各項目ごとに数字を出してまとめてほしいんだ。」と言われ見せてもらうと、随分細かい内容で。う~ん、これはもしかしたら上司の仕事だったのか?と思いつつ、期限を聞いてみると、そこまで急ぎではないことが分かったので引き受けることにしました。日々の自分の業務をこなし、その合間に数字と戦うことに。この割合の数字をどう出せばいい?前例がないので、計算式があるはずもなく、何をどうしたら弾き出せる?と一人葛藤しました。その後、かろうじて資料は作成できたものの、数字の羅列を見てもいまいちピンとこないなと思い、それとは別にExcelで学部学科ごとに棒グラフを作ってみることに。すると、一つの学科だけが飛び抜けて利用してくれていることが分かりました。画面を見ながら腕組みをして、思考を巡らせる時間。その後、一人の男の先生の顔が浮かび、ああ!と叫びそうになって。その若い先生は、ゼミでよく学生さん達を連れて利用をしてくださる方でした。授業で使うので学生さんも個々で図書館を利用してくれるようになり、好循環が生まれていたのだと。グラフにしたから気づけたことがあった、やはり毎日カウンターにいる私が資料を作って良かったなと思いました。それから、上司に渡すことに。「外部に提出するものはこちらです。今回どうこの数字を出したのか、途中の計算式を別の用紙に残しておきました。次は1年後かもしれませんし、誰が取り掛かっても分かるようにしておこうと思って。ただ、私の計算式が合っている前提ではあるんですけど。月次処理でも忘れそうになるのに、年次処理だとすっかり忘れている可能性大なので備忘録です。これは個人的に作った図書館内の資料として、学部学科ごとに出した入館者数や貸出冊数のグラフです。何か参考になればと。」そう言ってこちらの気づきを伝えると、やっぱりお願いして良かったと微笑んでくれました。現場を知る人間が数字を出してくれた方が、見えてくるものがあると上司は最初から分かっていたのか?!「助かった。ありがとう。それにしてもいつやってくれたの?」は?と思いながら答えることに。「経理とか絶対にやらなければならない業務など、優先順位をつけて、合間合間にファイルを開いて数字とにらめっこをしていたんです。カウンターなどにも出ていたので、逆に気分転換や頭の体操にもなって。パツパツのスケジュールだとこちらも焦ってパフォーマンスが落ちるんですけど、比較的ゆとりを持った期日を出してもらえたので、逆算してからいろんな角度で考えることができました。」そう伝えると、上司はこちらの頭の中のボックスでも見えたのか、納得してくれました。ある程度自由度があった方が、力を発揮してくれるかもしれないなと。そんな図書館の雰囲気に助けられていたからこそ、安心して波に乗ることができて。自分と関わってくれた方達に、やっぱりありがとうだな。

さてさて、隣で教えていても気圧の変動で全く集中力のない息子は消しゴムで遊び出していました。小爆弾を落としつつ、喧嘩もしながら、なんとかワークは数日かけて終わらせることができて。心配はいつも貼りつき、のびのび育てるというコンセプトはどこへやら。母親として、鬼ババのようなここ最近は不合格だなと凹んでいると、夜にぼーっとした頭で湯呑を落としてしまいました。フローリングに落ち、バラバラに割れてしまって。それを見て、息子はまずこちらを心配してくれました。「ママ、大丈夫?」その言葉は、深い優しさに包まれていて。そして、私もやや動揺しながら、「大丈夫。Rは裸足だから危ないし、こちらには来ちゃだめよ。」と伝えていて。お互いとっさに出た思いやり、その言葉は同じ温度でした。これが二人で築いてきたものなんだなと、なんだかぐっときて。そしてその湯呑は、元夫との別居が決まり、息子と二人暮らしを始めた時、母が仲間に入れると喜び、おかしなテンションで私物を沢山置いていった物の一つでした。母のメンタルに本気で困惑し、また疲弊していた頃の自分を思い出して。それを思うと、息子も母もそして私も前に進んだねといろんな気持ちになりました。湯呑は自然に壊れたもの、関係が壊れたのではなく、彼女のもやもやが少しでも晴れたのではないか、そんな気もしていて。お母さん、頑張れ。心の中で言葉にすると、自分も元気をもらえたようでした。言語化しなかった想いがある、言語化したけど表に出さなかった想いがある、きっと私は後者が圧倒的。宇宙のように漂う気持ち、今日も誰かに届いてくれるだろうか。