今年の誕生日は、見事にバースデーブルーでした。曇り空だし、低気圧で頭は痛いし、さあどうする?と朝から困惑。パソコンを持ってお気に入りの紅茶専門店へ行く?シェアオフィスでいつもの日常を送る?とぎりぎりまで迷い、結局選んだのはホームグラウンド。気持ちが沈んだまま、受付を通過しようとするとそこにいてくれたのは、絵の上手な女性スタッフさんでした。「おはようございます。ホワイトボードの絵、お月見をしているうさぎちゃんがかわいい!」と私が言うと、喜んでくれて。「お誕生月って聞いていたから頑張って描いたんです。そう言ってもらえて嬉しいです~。」「実は今日誕生日なんです。」「え~!おめでとうございます!」日付が変わると共に、色んな方からスマホにお祝いメッセージが入り嬉しいなと思いながら、面と向かって初めて伝えてくれたのはシェアオフィスのスタッフさんでした。なんかいいな、やっぱり来て良かった。そんな気持ちを抱きながら、ほっこりしていると、ドアの前から現れたのは不動産関係のお仕事をされていたHさん。「お誕生日おめでとうございます!今日お会いできて良かったです~。」この温度に導かれてきたのね。「○○さんが来られているってことは、書き続けていられているってことですよね。」そんな言葉を前日にかけてくれていた彼。たったひと言が温かいんだな。
そして、ラガーマンTさんにも一連のことを相談させてもらっていました。休憩が1時間ある中で、15分でご飯を済ませ、会議室に案内してもらったので恐縮してしまって。「貴重な休み時間にすみません。」「いいっすよ。今日は受付でリラックスしていたんで。」ははっ。どんな時も気を使わせない彼の姿勢に感服。いつもと変わらない温度で話を聞き、こちらの状況を分かった上で伝えてくれました。「僕からラグビーを取ったら、きっとそれは僕じゃなくなると思うんです。ずっとそこにあるもので、ラグビーを通して届けられるものがあればと、ここまで来たのかもしれません。○○さんがやっていらっしゃること、僕はやめないでほしいと思っています。なんだか全然アドバイスになっていなくてすみません。でも、自分が持っている想いを大切にしてほしいです。」あなたが温めてきたものを簡単には手放さないでほしい、きっと後悔するから。そんな気持ちがふわっと届き、胸がいっぱいになりました。そして、彼が以前所属していた購買部の話を振ってみると、思いがけないことを教えてくれて。「僕、部品のコストを少しでも下げる為に、工場によく行ったりしていたんですけど、おじいちゃん従業員に寄り添っちゃうタイプなので、なかなか交渉ができなくて。ダメっすね。」その話を聞き、二人で思いっきり笑ってしまいました。彼は、そのままの人なんだろうな。「Tさん、ラグビーで培ってきたものが太くなってくれたらと、個人的な意見ですけど願っています。コーチングを学び、指導者になる姿を間近で見せてもらえて嬉しかったです。もっともっと大きくなって花を咲かせてくださいね。」そう言うと、喜んでくれました。「なんだか僕の話ばかりになっちゃって。」「いえいえ、お互い信念を貫きましょうね。沢山励まされました。」やっていることは違うけど、根っこにある気持ちは同じ。だから、届け合うことができたんだ。
その時間を思い出しながら自宅に戻ると、息子も帰宅し、学校から支給されたiPadで担任の先生と通信をする時間がやってきました。前日に息子が適当に覚えてくるものだから、思うようにGoogle Meetが繋がらず、仲良しのKちゃんに聞いてみたり、プログラマーのMさんに聞いてみたり、ひと騒動の通称iPad事件。あっという間にテスト時間が過ぎてしまったので、連絡帳で先生に泣きつくと、翌日丁寧に息子に教えてくれました。そして、誕生日当日、息子と今度こそはと思い開けてみると、クリックしていたアイコンが違っていて、ずっこけそうになりました。先生とあっさり繋がるアイコンが用意されていて、映し出された映像には見慣れた先生の顔と声が届き、泣きそうに。休校中、オンライン授業について議論をしている番組をたまたま見つけ、色んなことを思いました。学校はみんなと触れ合うことで社会生活を学べる大切な場所、でも、コロナ禍で学校に行けずオンライン授業になっても、担任の先生と繋がることで子供達は大きな安心感を得られる、どの意見も正解なのかもしれないな。学校ってなんだ?とこんなに考えさせられたことはなかった大きな3か月間でした。その時の苦悩が先生と繋がった瞬間蘇り、先生が息子に気づき伝えてくれました。「R君、先生の声が聞こえていたら手で丸を作れる?」その声を聞き、両手で大きな丸を作った息子。「聞こえてるね~。何か伝えてくれる?」「先生、聞こえてるよ~。」「オッケー。確認取れたからもういいよ!」トイストーリーに出てくるキャラクターのぬいぐるみを持ちながら話してくれた先生の気遣いに嬉しくなりながら、何とも言えない優しい時間が流れました。新しい生活様式、慣れないことも沢山。大人でも大変なのに、子供にかかる負担はもっと大きなもの。その中で、こんな温かい世界を用意してくれた先生達の配慮に滞っていた自分の気持ちが溢れ出しました。今を生き抜く力、教科書ではなく実体験で教えてくれているんだね。便利さの周りを包んでくれた優しさに胸が熱くなった夕方。
夜になり、今年はやや複雑な気持ちで二人から焼き菓子をプレゼントされ、一緒にケーキを食べて、息子が渡してくれたお手紙を二人になった時に開けてみました。『お母さん、おたんじょうびおめでとう!!お母さん大すき☆いつもありがとう。とてもすてきなお母さんにうまれてぼくは世界一のしやわせものです。お母さんの作るりょうりはどこをさがしてもお母さんのりょうりはぜったいおいしいりょうりです。』(一部抜粋)なんだそれ!いつも料理の文句ばかり言ってくるじゃないか!ちょっと意味不明だし、誤字もあって読点がなくて、赤鉛筆で直したい衝動に駆られたものの、息子の優しさに泣きそうになりました。お礼のハグをし、そっと伝えてみる。「ありがとう。お母さんもね、あなたが子供で良かった。お母さんの子に生まれてきてくれてありがとう。」そう言うと、嬉しそうにはにかんでくれました。なんだか苦しかった誕生日、それでも周りにいてくれた人達にやっぱり助けられていることに気づく。また一つ年を重ねたよ。その重みを、またこうして記していく。