秋のいい感じで曇っていた日曜日。野球から帰ってきた息子のエネルギーが有り余っていたので、夫が広い公園へ連れ出してくれて、私も掃除をした後に自転車で向かいました。息子だけグローブを持参し、テニスボールを使ってキャッチをする練習。うまく捕れた後に、こちらに向かって投げてくれた球が前よりも速くなっていて驚きました。なかなかの剛速球。素手で取っていたのでテニスボールで良かったと思いながら、返球すると大暴投。「ちょっと~!!そんな球じゃ捕れないんだけど!」とまさかのヤジが飛んできて、自分の練習不足を痛感しました。悔しかったので、自主練でもしようかと思います。なんちゃって。
そんな爽やかな午後、意外と肌寒かったので私だけ早々と帰宅し、テレビを点けるとそこにはDeNA対阪神のクライマックスシリーズがやっていました。ナイターだと思っていたよ。慌ててかじりついて観ていたら、男子二人が帰宅したので夕飯の準備を始めていると、9回表、4対3、ツーアウトランナーなしという場面に福留孝介選手がバッターボックスに。ランナーいないもんねと諦めかけていたその時、スローモーションで外野席に飛んでいくボールが見えました。あれ?これはVTR?なんて思っていると、4対4という表示が見えて、痺れました。入った!!福留選手も矢野監督も、元々中日で活躍した選手でずっと応援していたので、なんだかその瞬間、堪らないものがあって。福留選手は42歳。まだまだ若い者には負けられないじゃないけど、いざとなったら俺がいるみたいなその雰囲気がとても好きです。仲間と競い合うというよりかは、俺から何か学べることがあったら吸収していってほしい、そんな生き様がプレーに表れているようで、言葉ではなくバット一本で魅せてくれるその姿に、大きなエネルギーをもらったような気がしています。試合は、阪神のさよなら負け。それでも、あと一人という場面で同点になった感動は、見事に残りました。
高校3年の時、甲子園に向けての愛知の県大会で勝ち進み、そろそろ学校全体で応援に行くかとなった時のこと。公立の進学校で、夏休みは補習がありました。暑い中、高校で勉強をした後、行ける人は3塁側のスタンドに集合とのこと。制服のまま電車に飛び乗り、瑞穂野球場まで着くと、体の中から湧き上がるものがありました。ブラスバンドは大会に出ていて不在。だったら私達女子が選手を盛り上げようと奮闘しました。シーソーゲームの9回表。1点差で勝っていたのも束の間、相手の猛攻に合い、まさかの同点に。一瞬落胆したかのようなピッチャーが顔を上げた時、スタンド全員の応援が鳴り響きました。なんとか同点で抑えた延長戦、ヒットで繋いだチームはさよなら勝ち。優勝したわけでもないのに、応援席皆でハグをして、泣きじゃくり、本当にいい試合でした。そのテンションのまま、女友達数人と栄で食べたかき氷が未だに忘れられません。「良かったね!本当に良かった!○○高校勝ったよ~って叫びながら帰りたい!なんだか青春だね。こんな気持ちのいい日焼けならいくらでもしたい!」そうやってずっと盛り上がり、野球部が受験から一瞬解放してくれたような気がして、学校を一つにしてくれたような気がして、胸が熱くなりました。
そんな嬉しい気持ちを抱えた翌朝、早速中日新聞の県内版を見てみると、小さな記事を発見。地元の記者さんが最後まで投げ切ったエースを取材してくれていました。「9回表に同点にされた時、どんな気持ちでしたか?」と。「打たれた時はがっくりきました。でも、よく考えたらまだ同点で、9回裏があると思い出したんです。仲間が絶対点を取ってくれる。そう思えたら、不思議と体が軽くなって。試合はここで終わりじゃないって。同点なら延長もあってまだ投げられると思いました。」仲間と少しでも長い時間プレーをする為に。
野球は9回ツーアウトから。簡単には諦めない。