夏休みは週二回公開すると決めてから、気分が少し楽になりました。プログラマーのMさんも裏側でほっとしてくれていて、本当にもしかしたら読者さん達もそうなのかも。緊張と緩和、忘れたらいけませんね。前にさらっと触れた『さくらdeカフェ別館』。本館はまさにこのサイトなのですが、私の頭の中にはもう一つあり、Mさんに「ANNEX(別館)もあったの?!」と笑われてしまったことがありました。そこは森の中にあり、全てが左利き仕様です。休んでいる水曜日は、そちらでリラックスしていたりして。
そういったことをあれこれ想像していたら、繋がった一つのこと。はしと鉛筆が右利きに矯正されたので、私の左利きは隠れてしまっているということだけでも、子供の頃からなんとなく不便を感じていました。それに加えて、おそらくHSS(繊細な要素を持ちつつ外交的な部分を持つ特性)でもあるので、本来の内向的なところが分かりづらいのかなと。姉の元カレ、チャイニーズカナディアンの彼が来日した時によく弱音を吐いてくれて。「僕、日本人と思われるから、ファーストフード店に行っても、ものすごい早口で話されて困惑するんだよ。うまく聞き取れていない時に、隣のレジに並んだ明らかに欧米人だと分かるお客さんにはゆっくりした日本語で話していて、英単語も混ざっていていいなって思ったよ。」「なんか分かるよ。〇〇ちゃんね、見た目もなんだけど、醸し出す雰囲気が日本人ぽいんだよ。カナダの大学で日本語を学んだでしょ。その時、日本の文化も一緒に吸収してくれたような気がするよ。」ああ、そうかもと言いながら妙に納得してくれました。日本という国が好き、その文化も食事も振る舞いも、敬意を払ってくれていた彼。だからこそ自然と溶け込み、聞き取れないからこその困難さもあったのだと思いました。「Sと話すと日本語の勉強になるんだよ。僕が勉強中なことを知ってくれているし、少し英語も通じるし、何よりゆっくり話してくれるから。」“ゆっくり”これが大きなポイントだったんだろうな。彼もまたゆっくり話してくれる人でした。だから、お互いが下手な英語と日本語でもコミュニケーションが取れたし、テンポやトーンが似ていたのかも。中国からの移民で、兄弟も多く苦労をしてきた人、言葉を濁しながら姉が話してくれたこともありました。頑張って働いたお金で、大学に戻り日本語を学んだ、そこの大学で姉と出会い、来日までしてくれた恋人。妹が、キティちゃんが大好きだからと見つける度にグッズを買う姿を見て、じーんとしました。苦労の形って人それぞれで、第三者が全部を分かることは難しくて、そんな中でも彼を見ていると、苦労から本当の優しさを手に入れてくれたような気がしました。姉は、その“本当”を見つけたんだろうな。彼もまた、私のことをsweetと言ってくれたことを思い出したよ。見た目は分からないって難しいね、そんなことでまた語り合えたなら。
姉が、両親のことで見切りをつけ、もう自由になりなさいと言ってくれた数年前。動揺する私に、伝えてくれました。「お母さんの心を壊したのはお父さん、お父さんはそれに気づかないふりをして、面倒なことはSに押し付けてきたの。だから、私はあの人達が許せない。Sが二人から逃げたら、周りの人達は何か言ってくるかもしれない。なんて酷いことをするんだって、表面だけ見て判断する人はいると思う。そんな雑音は気にしなくていいの。そういうことを言う人がいたら、あなたに何が分かるんですかって私が言ってやる。うちの妹がどれだけの犠牲を払い、ボロボロになるまで頑張ってきたのか、分からない人に言われたくないって。時間は返ってこないんだよ。Sの大学4年間を思うと、腹が立って仕方がないの。その時にしか味わえないこと沢山あったと思うから。それを家族のことで費やしたんだよ。もっと怒ってもいいはずなのに、Sはその感情まで心に閉じ込めたの。それでも、あの人達はまた頼る。少しずつたまったものが風船みたいに膨らんで、破裂寸前なんだよ。」慟哭。奥底から泣き、それを受け止めてくれた姉がいた。私にとって家族はSだけ、そんな言葉が蘇り余計に泣けてきて。妹を逃がし私が盾になる、姉の気持ちが痛い程伝わってきました。「S、やりたいこと他にも沢山あったでしょう。その時間に戻れなくても、今からでもやれることを今すぐやりなさい。自分の人生を取り戻すの。」新しい道が拓けた時、そして、人を助けてくれるのはやっぱり人なのかもしれないと思えた時。
プログラマーのMさんが私に声をくれたのは、それから間もなくのこと。あなたにしか書けないものがある、そう言ってくれました。「何かに触れていると溢れ出す、だから書くことがないなんてこと、ないんじゃないかな。」それがね、チョコファウンテンのような状態だったのに、薬の影響で塞がれてしまって、溶かすのに一苦労というのが今の実態。だから、別館でちょっと休もうと思います。というか、夏休みでわんぱく8歳児と遊ばなければ。
そして、大学に通い出したら姉に必ず報告する。彼女の心を解くカギは私が持っているのかも。