出会いが転機となる

珍しく前回の記事に続く話。
教員免許を取った後は、塾で勤務することになり、いつかチャンスがあったら司書の資格を取ろうとお金を貯めながらタイミングを考えていました。

仲が良くなった国立大学出身のかなり頭のキレる女性の同僚が、とても波長の合う友達で、一浪をして私とは違う苦労をしていたので、なんだか話しやすく、素直に伝えました。自分のこれまでのこと、司書の資格を在学中取れなかったこと、大学の司書講習で資格が取得できること。
午前中は時々大学の聴講生になり、心理学を学び、午後から出勤していることをその友達だけが知っていて、私の体のことを心配してくれていた優しい友達。

だからなのかな、半分怒りながら言ってくれました。
「Sちゃんの人生なんだよ。遠慮していたらダメだよ!!塾のことは他の先生達がいくらでも児童達の事を教えることができるよ。だから心配しなくていい。年齢が進む前に動いた方がいいよ。大学の司書講習、学生を募集しているなら、入学の論文試験だけでも受けて、それで駄目ならまた考えればいいよ。もっと、わがままになりなよ。」

なんだか、圧倒されてしまい、嬉しさのあまり半泣きしながら友達の話を聞き、迷いはなくなりました。その後、受けた論文試験は通り、大学の司書講習の切符を手にすることに。

仕事の最終日、その友達は先生達や児童達に、寄せ書きをお願いしてくれていて、最後に渡してくれました。その中には、仲の良かった児童のお母さんからも。
『夢があるって、素敵なことですね。そんな姿を子供に見せてくれてありがとうございました』
お母さんを亡くし、悲しみと戦っていた小学生の女の子からも。
『先生がいつも笑ってあいさつしてくれるのが、すごくうれしかった。私もがんばるから、先生もがんばってね』

自分のわがままを貫いて、皆に迷惑をかけてしまうのではないかと、どこかで気にしていた私の気持ちを察し、友達が、皆応援しているから大丈夫、安心して前に進むんだよと、沢山の気持ちを込めて作ってくれた寄せ書き。
人に何かを教えるのは、勉強だけじゃない。自分の生き方や考え方を伝えるのも、もしかしたら大切な役割なのかもしれない、そう思わせてくれた溢れる最終日でした。

もう一度学生に戻った司書講習は、現役の学生さんだけでなく、10代から60代までの社会人の方も受講していました。
皆の目的は、もちろん司書の資格。大学在学中に取得する単位を、たった2カ月で学ぶという凝縮されたカリキュラムに、誰もが苦戦しました。
3日に1度程の試験、その合間のレポート提出、1つでも試験を落とせばまた来年。

一人も落とすことなく、皆で合格しよう。ライバルは誰もいない、そこにいる全員が仲間。
友達がドーンと押してくれた世界は、また違う優しさに溢れた場所でした。